日本の少子化克服の根本的な解決策は?

田村八洲夫

少子化と求人難

5年毎の国勢調査によると、生産労働人口は少子高齢化の進行によって、2011年8100万人が2015年7600万人に、年の平均で実に100万人も減少している。これは高校卒業生数や秋田県の現在の人口とあまり変わらない。この減少傾向はその後、大きくなっていると明らかである。

マクロ的に見て生産労働人口が減少すると、経済成長率ゼロでも求人倍率上がる。経済の成長拡大を走るアベノミクスはIT業界やサービス業界を中心に求人難が深刻になっている(必然的に給料が上がる)。これを補うために、

①外国人労働力の導入と

②AIロボット化がともに加速しているが追いつかない。さらに

③「働き方改革」と称して給料変えずに労働時間を延長のルール作りと

④「労働年数の延長」=「人生100年、定年70以上に延ばして、死ぬまで稼いで納税すること」を常態化しようとしている。

こうしてGDPを上げるために一人当たりのGDPを加速させている。生産労働人口減少の下でGDP成長させるステージが③④に至ると、生活にゆとり(自由時間)が失われて「人間らしさの際限のない喪失」に至り、「少子化を助長する負のスパイラル」に陥って日本社会は「憤死」してしまうのではと危惧する。

 

日本での解決策は何?

このままでは日本の人口は2050年までに1億人を切り、2100
年には5千万を割ると予想されている。根本的な解決策は何だろうか。 以下に試論として要点を列記する。

1)経済を定常化へ、さらに人口減少を勘定して経済の縮小化を進める。石油エネルギーの減耗にも対応することである。

2)生産労働人口の減少数を有意に超える労働をAIロボットに置き換える。一般的に、単純定型から複雑非定型へと置き換える。そして太陽光発電を主として、地域での自然電力の開発のスピードに合わせて、順次、機械化=AIロボット化の転換を全国的に進める。これに「豊かな社会=中間層の分厚い健全な経済構造への転換」が伴うことによって、生産労働者一人当たりのGDPを正常な労働環境(労働時間・待遇)のもとで上昇し、ゆとりと豊かさが向上し、老後の安心の保障につながる。

3)2)から産まれる余剰の生産労働人口には地方移住を政治支援によって薦める。その人材は専門の技術や経験を活かして「地域農商工連携」で地域の自治と豊かな自然と循環型の生活環境の再生を担っていって欲しい。

4)1)によって国の税収は減少するだろうが、国民主権の憲法遵守の政治によって、膨れ過ぎた国家財政はスリムにできるはずだと考える。

5)最近の求人倍率の上昇は、生産労働人口の減少によるモノであるが、恰も経済成長を表れであるかのように語られているキライがある。
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2)で指摘の「AIロボットへ置換」、及び「経済構造の転換」の必要なことについて述べる。
注1)〈AIロボットの導入のブレークには電力消費量の経済性が前提的〉

①家庭用ロボットと自動運転自動車の実用化のために最も重視されているのが、ナノテクノロジーによる省エネCPUの開発である。自動運転車の制御演算数は毎秒300兆を超え、その消費電力量の当面の開発目標は500Wh(石油1㍑の20分の1以下)ある。これに車両走行エネルギー(㌧㎞)が加わる。石油系より電力の方が小型軽量化でき、燃費が格段に良い。また、家庭用AIMロボット掃除機(ツカモト社)の消費電力は10W、価格は1万円。家庭用AIの電源として屋内の環境電気が開発利用できる可能性がある。 なお、ロボットに重力に逆らう運動させると電力消費が大きいので様々な工夫がなされている。

② 石油は超巨大油田の殆どが老朽段階にあってエネルギー収支比が悪化し限界コストが上昇して油価が高価格トレンドにある「斜陽エネルギー」である。サウジアラビアも脱原油輸出へ移行の途上にある。太陽光発電は自噴油田と同様に基本的なメンテナンスの下で「自然が勝手に限界コストがほぼゼロで発電」してくれるので、長期的に安定的な電源と云える。加えて太陽電池パネルが発電性能、フレキシブル形状、コストの点で革新的に進歩しており、日本の年発電量1兆kWhが見込まれる。さらに風力発電や環境発電等の他の再生可能電力とのスマートグリッドによって安定した日本の各地で地域電力になりうる。
注2)

 

中間層が豊かな経済構造の転換~資本主義からインターネット共有主義へ

①AIロボットの驚異的な普及はICTとクラウドインターネットの革命的な進歩に依る。インターネットの基本的な方式にはクライアント・サーバー方式とピアツーピア方式がある。前者は情報がサーバーに集中管理され、サーバーとクライアントは主従関係にある。他方、後者は端末自身が信頼によって情報管理し、信頼に基づく共働・共有関係にあり、それが水平展開して広がる能力がある。

②現在SN企業等(Google,Facebook,Amazon,Yahoo等)を軸に資本の集中による垂直支配(企業トップの支配)が進んでいる。それらは必然的にクライアント・サーバー方式によってクラウドインターネットを利用した情報独占をグローバルに指向しており、その蓄積で自らの利益のために地球市民を操作することを可能にしている。

③ピアツーピア方式はどのような経済構造の変化を生み出すだろうか。
・共有共働の関係からプロシューマーを大量に生み出し、3Dプリンティングによる生産が拡大しよう。
・それ故、製造方式が大量生産から消費地分散生産に転換できる。そのため原材料と輸送の手段・距離・エネルギー(石油、電力)を大幅節減できる。
・そのため人口の地方移動が促進され、地方各地で農商工連携が普及し、地域のエネルギー開発と自然と社会力の再生、賑わいと地域文化の復活が促進される。
・人間は大資本の統制下で受動的に働くよりも、信頼の共有共働に支えられて創造的に働く方が能力発揮して質の高い仕事ができる。仕事に必要なファンドはネットバンキングで大勢の人々から集めることができ、彼らサポーターの応援を励みに仕事ができる。この働き方の転換は、ICTとピアツーピアインターネット方式の広範な優位性にある。経済構造を長期的に俯瞰して、こうして資本主義から共有主義に転換させる力となると考える。

 

参考図書
「シェアリングエコノミー」田村八洲夫著、幻冬舎新書、2018年発行

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