あの地震は、3月11日14時46分18.1秒に起こった。津浪は宮城県名取市に15時55分、仙台空港に15時59分に来襲、毎日新聞9月8日「世界が絶句 津波の恐怖」の特集写真から分かる。
これは重大である。地球物理学者の寺田寅彦は、三陸大津浪のあった1933年、「津浪と人間」という随筆に、”地震があってから津浪の到着するまでに通例数十分かかるという平凡な科学的事実を知っている人が彼地方に非常に稀だということである>と述べている。
この「数十分」、それさえ知っていれば、あれほどの犠牲者は出なかった。
防災の本質は堤防などのハードではない、自然の理解、畏敬の念、と寺田と同窓の私は考えるのだが。
About The Author
石井吉徳
もったいない学会名誉会長。東京大学名誉教授。元国立環境研究所所長。
東京大学理学部物理学科(地球物理学)卒。
帝国石油、石油資源開発を経て、1971年より東大工学部資源開発工学科助教授、1978年より同大学教授。1993年、東京大学を退官し名誉教授。 1994年から1998年、国立環境研究所副所長、所長。1998年から2006年、富山国際学園にて特命参事と大学教授。2006年、もったいない学会創設、会長。
主著に、『知らなきゃヤバイ 石油ピークで食糧危機が訪れる』(日刊工業新聞社)、『石油ピークが来た:崩壊を回避する「日本のプランB」』(日刊工業新聞社)、『石油最終争奪戦:世界を震撼させる「ピークオイル」の真実』(日刊工業新聞社)など多数。