地産地消は古くて新しい経済の大原則

 滋賀県、新江州(株)取締役会長、滋賀経済同友会特別幹事、森健司さん、MOH通信37号・巻頭言、ご参考に


「地産地消は古くて新しい経済の大原則」


 グローバル化の反対論であるが、常に世界中でもっとも廉価な商品を求めて、それを国内産と競争させ輸入することが、わが国にとって(国民にとって)よいことだろうか。商品が生産されるためには、原料段階から、商品の製造、完成品化、流通と幾つかの工程があるが、不可避の事情はあるとにしても、少なくとも食品、衣類、住居等、生活必需品は昔から言われているように、最寄品である。決して買回り品ではない。

 最寄品ということは今の言葉でいえば「地産地消」ということだ。生活をする以上無くてはならない、無くては生きていけないモノが生活必需品なのだから、それを輸入に頼ってはいけない。国際紛争や、自然災害の様なことで輸入が滞ったとき、どうすれば良いのか。少なくとも行政も生産者も消費者も、挙げて「地産地消」を守り育てていく努力が必要なのだ。

 消費者は価格が安いからといって外国産に飛びついてはいけない。家族が繊維関係に携わっているにも拘らず、消費する衣類は安い中国産を買っているということはないだろうか。家族の就労の機会を妨げないためにも、消費者はわが国の産業を空洞化させる原因をつくってはいけない。その生命線は自分が握っていることを、消費者は常に自覚して行動すべきなのだ。 

 大企業はグローバルに生きる以外に生き残りの道は無いのかもしれないが、地元の中小企業まで海外に移転しなければならないような経済環境にしてしまうことは、取り返しのつかない重大なミスティクである。

 特に問題は農産物である。農業は自然の中でしか生産出来ないから、地形、気象、土壌、水利等自然環境によって、生産品に価格、品質ともに大きな差がでることは避けられない。

 わが国の農産物が地形からして大型機械による大量生産には不向きで、コスト的には不利である。しかし、その他の自然環境や人的努力によって品質の良さにおいては、諸外国のレベルを超えていることは間違いない。

 現代は経済思考に発する価値観で、遠隔地からの輸送に関わるエネルギー等を無視しても、店頭の価格のみを対象にして動いているようである。

 供給者(造り手)の顔が見えて、消費者と一体になった経済が生まれて、地域の繁栄が約束される。消費者は生産者が製造に心をこめた思いを大切にし、満足すればご近所に口コミで宣伝活動に一役かって出る。双方が感謝しつつ商いが出来てこそ、長い取引が続くのだ。 

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