嘆きのライオン (ジュネーブ便り1)

スイスは美しい自然があり、山岳地系を利用した酪農が盛んです。また永世中立国として有名です。ジュネーブに勤務し、少しずつスイスのことが分かってきました。その第一報をお送りします。

その昔、スイスのアルプス地域はローマ帝国に支配されていました。そのためスイス各地には、コロッセウムや神殿など、多くのローマの遺跡が残されています。
5世紀にローマ帝国が衰退してスイスから撤退していくと、ドイツ語フランス語ロマンシュ語イタリア語を話す民族がスイスに流入してきました。

スイスは各州(カントン)の連合体からなる
連邦共和国であります。その原型がつくられたのは、今から700年以上前の13世紀末、3つの州の代表者たちが集まって対ハプスブルク家自治独立を維持するため、農民軍を結成し、永久盟約を結んだことに遡ります。

このスイス原初同盟が
ハプスブルク家を破り独立を果たすと、スイス歩兵の精強さがヨーロッパで認められるようになりました。国土の大半が山地で農作物があまりとれず、めぼしい産業が無かったスイスにおいて、傭兵稼業は家族を養うためのいわば出稼ぎになったわけです。

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世紀、スイスはフランスに敗れ、それ以来スイス傭兵はフランスに忠誠を誓い戦いました。ルチェルンにある「嘆きのライオン」は、ルイ16世とその家族を守って死んでいったスイス傭兵達の悲劇をテーマに扱った記念碑であります。


 

スイス傭兵は、家族を養うためでしたが、結果的にスイスに傭兵産業を興しました。この結果、現在スイスは国民皆兵国家として独自の比類なき軍事力を有するようになり、永世中立国を堅持してきたと言えます。

永世中立国とは、将来もし他国間で
戦争が起こってもその戦争の圏外に立つことを意味します。軍事的な同盟国がないため、他国からの軍事的脅威に遭えば自国のみで解決しなければなりません。日本のようないわゆる平和主義非暴力非武装とはまったく概念が異なります。スイスのように強大な軍事力を保有する国だからこそ可能なわけです。

国家安全保障の考え方は、日本とスイスで大きく異なることが分かります。
 

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