新型コロナウイルス感染の科学と技術、そして文明転換

田村八洲夫

1)新たなウイルスの出現は突然変異か

・人に感染するコロナウイルスは1960年代に初めて出現したとのことです。コロナウイルス科の動物系統図を見ると、60年代以前には、牛のコロナウイルス、馬や犬、猫のコロナウイルス等がありました。そして1960年代に人に感染するコロナウイルスに変異し、今日までに、ふつうの風邪のが4種類、そして2002年のSARS、2012年のMERSに次いで2019年の新型コロナウイルス(Co-V2-19)へと順次変異しました。合計7種類も半世紀の間に、合計7回の変異です。多細胞であるホモサピエンスという人種が20万年も続いているのに比べて極めて速い変異です。ウイルスは単細胞で、そのまま生殖細胞だし、生き続けるために環境変化に対応して変異し易いのだと考えます。

・変異はRNA(リボ核酸)の突然変異だと考えられています。そして宿主がコウモリやヘビで、人へ感染するウイルスという説が憶測されていますが、科学的には現在のところ未定で、いっそうの研究の進展が待たれます。従って、中国人はゲテモノ食いだとバッシングしたり、中国が専制国家だからと無闇に非難しても、又WHO(世界保健機構)は中国贔屓だと抗議しても、偏見を助長するだけで、「感染の連鎖」を絶つ力にはなりません。新型コロナはワクチン開発も手探りで、まだ分からないだらけのようですから、非難は慎重に限ります。
そうでないと、イタリアをはじめ欧州、米国等の民主国家でなぜ、手遅れして大流行しているのか、説明がつかない矛盾に陥ります。

 

2)科学と技術の相克

・医療における科学的探究の目的は、人を病気から守るという医療技術的な目的を達成することにあります。しかし、ひとつ言えることは、科学的な探究がが不十分な段階であっても新型コロナウイルスの感染の連鎖を断ち、それを撲滅する戦争に勝つべく、最大限努力せねばなりません。これが新型コロナウイルスに対する科学と技術の相克で、仕方ないことです。従って、敵の手強さと医療の科学技術の遅れによって国民の健康と生活に犠牲が及びうることを覚悟するよう、コロナウイルスとの戦争目的を明確に、国民に事前に理解してもらった上で、対策が後手にならないように、先手必勝の戦略が求められます。先手の遅れたカリフォルニアやニューヨークで
は外出禁止といった戒厳令状態、イタリアでは緊縮政策が仇になって医療崩壊
で、重度感染の高齢者に対する治療を放置ざるをえません。
日本でも先手必勝の戦略がなく、1~2週間がヤマ場だったのが、続いて10日とか3週間との指針が出される一方で、感染者数は収束の気配なく増えています。

 

3)持続可能なウイルス対策が必要

・前述のように人に感染するウイルスがこの半世紀の間に7回も異変し、その間隔が2002年→2012年→2019年と短くなってきています。しかも人間社会に対して感染力が強くなってきていると考えます。
・コロナウイルスが変異して存続する原因が、人間による地球環境破壊、とりわけ生物分布とその多様性崩壊にあるのであれば、今回の新型コロナウイルスに至っては常に成長を前提とする世界の資本主義経済を短期間のうちにどん底にしてしまう勢いがあるように怖れます。怖れは畏れです。畏れは人間社会に絶対に必要なことで、人間に、知恵と行動の動機を与えます。
・新型コロナウイルス感染がパンデミックに至った現在、新型コロナウイルスを「人類共通の敵」として、グローバルアライアンスを組んで闘うしかありません。いがみ合ったり、ミサイル実験している暇はありません。地球環境とリソースを痛めながら、石油文明という使い捨てのガラス細工のシステムに依存上して、「今だけ、カネだけ、自分だけ」の考えでの「ののうのうとした近視生活」を、少なくない人々は変えざるをえません。
・変異する度に言えることですが、今回の新型コロナウイルスの科学的認識は現段階では依然不十分です。一方、ウイルス撲滅のための戦闘武力は完璧でならないことつなぢす。
・今回のSARS-Co-V2を撲滅しても、間歇的にもっと手強いコロナウイルスが人類を襲い、現在の人類文明を滅ぼすかもしれません。それに人類の知恵が打ち勝つためには、どんなウイルスに対してもレジリエントな経済社会の在り方、そして地球環境の持続可能な安定した在り方を探究し、それへのグローバルに大胆な変革を実行しなければなりません。今回の新型コロナウイルスの出現は、その警鐘だと敏感に捉えるべきです。
国連のSDGs2030(持続可能な開発2030年達成目標)が加盟国193か国の全会一致で採択し、その実行に日本も上げ潮ムードになって来ていますが、国連主導の「No one leave behind=誰も置き去りにしない」という合言葉のSDGs運動のもつ、
人類社会を愛する先見性が伺えます。それは、信頼と協同・平和の新しい人類文明への軟着陸です。何という名前の文明にしましょうか。

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