地球温暖化防止のための「カーボンニュートラル社会の実現」は不必要です いま、人類は、必ず起こるとの科学的保証が得られていない地球温暖化を防止するとして、温室効果ガス(CO2)の排出ゼロ社会の実現を目指して、国民に経済的な負担をかける「脱炭素化社会の実現」を政治に求めています。これは、地球上に現存する貧富の格差を拡大して、世界平和を侵害し、人類の生存の危機をもたらそうとしている科学技術の限界に目をつぶって、世界経済の成長を継続しようとしている科学技術者の責任で行われていると言ってよいでしょう

東京工業大学名誉教授  久保田 宏
日本技術士会中部本部 本部長 平田 賢太郎

(要約);

⓵ 日本では、科学の常識を無視した「温室効果ガス50年ゼロの実行が法律で義務化されようとしています。結果として、科学技術の常識を無視した地球温暖化の脅威を防ぐための「脱炭素化社会の実現」に国民に経済的な負担を強いる科学的に不条理なエネルギー政策としての「パリ協定」がIPCC(気候変動に関する政府間パネル、国連の下部機構)によって推進されようとしています

⓶ 地球温暖化の防止のためには、科学の常識で肯定できない、この2050年のCO2排出量の実質ゼロの達成は必要ではありません

⓷ 必ず起こるとの科学の保証が得られていない地球温暖化の脅威を防ぐためとして、温室効果ガス(CO2)の2050年ゼロの達成を法律で義務づけても、IPCCが訴える温暖化の脅威を防止できません。いま、地球上の人類の生存にとって大事なことは、貧富の格差を最小にした平和な世界を創るために全ての国が協力することです

 

(解説本文);

⓵ 日本では、科学の常識を無視した「温室効果ガス50年ゼロの実行が法律で義務化されようとしています。結果として、科学技術の常識を無視した地球温暖化の脅威を防ぐための「脱炭素化社会の実現」に国民に経済的な負担を強いる科学的に不条理なエネルギー政策としての「パリ協定」がIPCC(気候変動に関する政府間パネル、国連の下部機構)によって推進されようとしています

朝日新聞(2021/5/27)に、

温室効果ガス50 年ゼロ 法律で明記

と報道されました。「温室効果ガス(CO2)の排出を2050年までに実質ゼロにする国の目標を明記した地球温暖化対策推進法の改正案が26日、参議院本会議で、全会一致で可決され、成立した。」とあります。この法案で決められるCO2の排出実質ゼロの目標は、菅義偉首相が、昨秋に宣言した世界の大気温度の上昇を、できれば、1.5℃未満に抑えるとしたパリ協定の目標に沿ったものです。具体的には、再生可能エネルギー(再エネ)の導入を促すために、地方自治体に導入目標の設定を義務付けるとしています。

また、同じ朝日新聞(2021/5/31)の社説が、

温暖化対策法 実質ゼロの歩み加速を

の表題で、温室効果ガスの排出を2050年までに実質ゼロにするとの上記の政府の目標の法制化の加速を訴えています。

しかし、日本が、世界各国と協力してCO2の排出削減をしても、目的とする地球温暖化を防止できるとの科学的な保証はありません。それどころか、このCO2ゼロの実行には、国民に大きな経済的な負担を強いることになるのです。具体的には、この温暖化対策法の改正で、地方自治体や、産業におけるCO2排出削減量の目標値の報告が義務づけられることは、その実行に当たっての費用対効果には、科学技術的な観点から大きな疑問があると言わざるを得ません。

いま、「新型コロナウイルス問題」で大きな議論の対象になっている東京オリンピック・パラリンピックの開催の可否の問題でも、私どもが以前から主張している選手全員に対するPCR検査の徹底を行えば、多くのアスリートが希望する東京オリ・パラの実施への熱い希望にこたえることが可能となるのではないでしょうか?

 

⓶ 地球温暖化の防止のためには、科学の常識で肯定できない、この2050年のCO2排出量の実質ゼロの達成は必要ではありません

 いま、地球温暖化の脅威を防止するためために、2050年までのCO2排出量の実質ゼロ(カーボンニュートラル)の達成を政治に求めているのは、IPCC(気候変動に関する政府間パネル、国連の下部機構)です。しかし、このIPCCに所属する気象学者が世界の政治に求めている50年までのCO2ゼロ実現実行の達成に対して、私どもは、その必要性がないことを主張しています。それは、現在文明社会のエネルギー源の主体として使われている化石燃料の消費量を現状の値に止めれば、IPCCが主張している温暖化の脅威は起こらないからです。これが、私どもが主張する科学の常識です。詳細は、私どもの近刊(文献 1 )をご参照願います。

最近、IPCCの国内委員のお一人である杉山太志氏も、このIPCCが訴える地球温暖化対策について、この私どもと同様な批判的な態度を表明しておられます。すなわち、私どもが先に紹介しているように、温暖化対策を目的とする「CO2ゼロの実現は国難の危機だ(文献 2 )」他の、IPCCの脱炭素化の政策推進に対する厳しい批判文を発表しておられます。

さらに、私どもが頂いている最新の杉山氏の論考によると、いま、このCO2ゼロ(カーボンニュートラル)を求めている先進諸国の政治は、それを実行する具体的に有効なエネルギー政策を持っていないと指摘しています。例えば。日本政府の場合、30年までに、CO2の46% 減、50年までに実質ゼロとしていますが、現用のエネルギー源の主体である化石燃料の代替として、CO2を排出しないとする再生可能エネルギー(太陽光発電や風力発電などの再エネ電力)および原発電力を利用することで、どれだけの経済的な負担を国民に課す必要があるかが示されていません。

すなわち、CO2ゼロ(カーボンニュートラル)の政策的実行の費用対効果が定量的に示されていないのです。

 

⓷ 必ず起こるとの科学の保証が得られていない地球温暖化の脅威を防ぐためとして、温室効果ガス(CO2)の2050年ゼロの達成を法律で義務づけても、IPCCが訴える温暖化の脅威を防止できません。いま、地球上の人類の生存にとって大事なことは、貧富の格差を最小にした平和な世界を創るために全ての国が協力することです

 脱炭素化(カーボンニュートラル)社会の実現を法的に義務付けても、地球温暖化の脅威を防ぐことができるとの科学的な保証は得られないだけでなく、その目的を達成するためのCO2排出ゼロの実現のために、現用の化石燃料、なかでも最も安価な石炭火力発電に較べて、遥かに高価な再エネ電力をいますぐ利用したり、あるいは、東電福島第一の過酷事故で稼働停止を余儀なくされている原発に対して、その安全性を高めるために過大な安全対策設備資金を投入して、停止中の原発の再稼動が図られようとしています。まさに、上記(⓶)した杉山太志氏が主張する「CO2ゼロは亡国の危機だ(文献 1 )」が、日本経済にとっても。現実の脅威となろうとしています。

必ず起こるとの科学的な保証が得られていない限り、地球温暖化の脅威を防ぐために、安価な石炭火力発電の代替として、現状では、高価な再エネ電力をいますぐ利用したり、安全性の向上に大きな設備資金を投入して、停止中の原発の再稼動を行う必要は無いと考えるべきです。詳細は、私どもの電子版の著書(文献 1 )および、「もったいない学会のシフトム・コラムの論考(文献 3 )」等をご参照下さい。

いま、IPCCが世界の政治に訴えている、科学の常識からもその実行の効用が認められないCO2ゼロ(カーボンニュートラル)の実行は廃止して、残された化石燃料を公平に分け合って大事に使うことで、貧富の格差を最小にする平和な世界に人類が生き残る道を、世界の全ての国の協力を訴えることが、平和憲法を持つ日本の務めでなければなりません。

 

<引用文献>

  1. 久保田宏、平田賢太郎;改訂・増補;化石燃料の枯渇がもたらす経済成長の終焉―科学技術の視点から、日本経済の生き残りのための正しいエネルギー政策を提言する、アマゾン電子出版、Kindleストア、2017年
  2. 杉山太志;「CO2ゼロ」は亡国の危機だ、ieei 、2021,1,27
  3. 久保田宏、平田賢太郎; 科学的根拠のない地球温暖化のCO2原因説を政治的に支持する菅首相の「温室効果ガス2050年ゼロ」が求める日本の「2050年グリーン成長戦略」は幻想に終わります。現代文明社会を支えてきた化石燃料の枯渇が迫るなかで、日本が、人類の生き残りのために貢献できる道は、全ての国が、地球上に残さされた化石燃料を、公平に分け合って大事に使い、貧富の格差の無い平和な世界を創ることを世界の政治に訴えることです、シフトムコラム、2021/01/06

 

ABOUT  THE  AUTHOR

久保田 宏(くぼた ひろし)
1928年生まれ、北海道出身。1950年、北海道大学工学部応用化学科卒業、工学博士、
東京工業大学資源化学研究所 教授、同研究所資源循環研究施設長を経て、1988年退官、
東京工業大学 名誉教授、専門は化学工学、化学環境工学。日本水環境学会 会長を経て名誉会員。JICA専門家などとして、海外技術協力事業に従事。中国同済大学、ハルビン工業大学 顧問教授他、日中科学技術交流により中国友誼奨賞授与。

著書に『解説反応操作設計』『反応工学概論』『選択のエネルギー』『幻想のバイオ燃料』
『幻想のバイオマスエネルギー』『原発に依存しないエネルギー政策を創る』(以上、日刊工業新聞社)、『重合反応工学演習』『廃棄物工学』(培風館)、『ルブランの末裔』(東海大出版会)、『脱化石燃料社会』(化学工業日報社)、『林業の創生と震災からの復興』(日本林業調査会)、『改訂・増補版 化石燃料の枯渇がもたらす経済成長の終焉—科学技術の視点から、日本経済の生き残りのための正しいエネルギー政策を提言する、電子出版 Amazon Kindle版 2017年2月』、『シェール革命は幻想に終わり現代文明社会を支えてきた化石燃料は枯渇の時を迎えます-科学技術の視点から、日本経済の生き残りのための正しいエネルギー政策を提言する―、電子出版 Amazon Kindle版 2019年10月』、『温暖化物語が終焉しますいや終わらせなければなりません-化石燃料の枯渇後に、日本が、そして人類が、平和な世界に生き残る道を探ります-電子出版 Amazon Kindle版 2019年11月 』他。

E-mail:biokubota@nifty.com

 

平田 賢太郎(ひらた けんたろう)
1949年生まれ、群馬県出身。東京工業大学大学院理工学研究科化学工学専攻修士課程修了。三菱油化株式会社入社、化学反応装置・蒸留塔はじめ単位操作の解析、省資源・省エネルギー解析、プロセス災害防止対応に従事し2011年、三菱化学株式会社退職。2003年 技術士(化学部門-化学装置及び設備)登録。現在、Process Integration Ltd. 日本事務所および平田技術士・労働安全コンサルタント事務所代表。公益社団法人日本技術士会 中部本部 本部長。著書に、『化学工学の進歩36”環境調和型エネルギーシステム3.3 石油化学産業におけるシナリオ”』(槇書店)、『改訂・増補版 化石燃料の枯渇がもたらす経済成長の終焉—科学技術の視点から、日本経済の生き残りのための正しいエネルギー政策を提言する、電子出版 Amazon Kindle版 2017年2月』、『シェール革命は幻想に終わり現代文明社会を支えてきた化石燃料は枯渇の時を迎えます-科学技術の視点から、日本経済の生き残りのための正しいエネルギー政策を提言する―、電子出版 Amazon Kindle版 2019年10月』、『温暖化物語が終焉しますいや終わらせなければなりません-化石燃料の枯渇後に、日本が、そして人類が、平和な世界に生き残る道を探ります-電子出版 Amazon Kindle版 2019年11月 』他。

E-mail: kentaro.hirata@processint.com

Add a Comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です