「新型コロナウイルス問題(以下、「コロナ問題」と略記)」収束後の世界では、地球温暖化対策のために国民の大事なお金を使う財政投資は不要です。貧富の格差の解消による世界平和の維持こそが求められます

東京工業大学名誉教授  久保田 宏
日本技術士会中部本部 本部長 平田 賢太郎

 (要約);

⓵ 「新型コロナウイルス問題(以下、「コロナ問題」と略記)」の収束後の問題を考える前に解決しなければならない課題があります。それは、この「コロナ問題」による経済的な損失をできるだけ少なくするために、「PCR検査の徹底」により「コロナ問題」をできるだけ速やかに収束させることです

⓶ 地球上の化石燃料資源の枯渇が迫るなかでは、世界の全ての国が協力して、私どもが提案する「化石燃料消費節減の方法」を実施すれば、IPCC(気候変動に関する政府間パネル、国連の下部機構)が訴える地球温暖化の危機はやってきません

⓷ 化石燃料の枯渇が迫り、世界経済の成長が抑制されるなかでは、IPCCが訴える温暖化の脅威を防止するための財政投資をする余裕はありません

⓸ 貧富の格差の解消による世界平和の維持に大きな影響を与えようとしている各国のエネルギー政策における融和・協調こそが求められます

 

(解説本文);

⓵ 「新型コロナウイルス問題(以下、「コロナ問題」と略記)」の収束後の問題を考える前に解決しなければならない課題があります。それは、この「コロナ問題」による経済的な損失をできるだけ少なくするために、「PCR検査の徹底」により「コロナ問題」をできるだけ速やかに収束させることです

 いま、日本における「コロナ問題」における感染者数の増加は、東京都中心から、全国に広がり、その収束の目途が立たない深刻な状態に入っています。この{コロナ問題}が収束できない限り、日本経済成のマイナス成長は続きます。「コロナ問題」を収束させるための基本的な方法は、「コロナウイルスに対するワクチンの開発・利用」が不可欠とされています。しかし、この「ワクチンの開発・利用」には、その安全性の確認の使用手続きなどに一定の時間がかかります。この間の「コロナ問題」による経済のマイナス成長を防止しようとすれば、いま、「コロナ問題」感染の補正予算に計上されているような、巨額な赤字国債の発行による国際金融上の借金を背負うことになります。これに対し。麻生財務相は、2025年までには、この借金が償却できるとしています。しかし、経済成長のエネルギー源である化石燃料の枯渇が迫るなかでは、このような、赤字解消ができるとの保証はありません。それどころか、「ワクチンの開発・利用」が遅れて、「コロナ問題」の収束が長引けば、この財政赤字がさらに積み増されますから、日本経済の崩壊が起こるのではとの懸念すら広がっています。

これに対して、このように、時間をかけないで、「コロナ問題」を速やかに収束させる方法があるのです。それが、私どもが主張している「PCR検査の徹底」です。コロナウイルスへの感染の有無を判断し、感染者を、速やかに未感染者から隔離して、適正な治療を施すことにより重症化するのを防ぐのです。この方法の実施では、陽性と診断された無症状を含む多数の感染者の隔離のための医療設備の用意など、医療崩壊を起こさないようにする政府に任されされた責任は大きくなりますが、「コロナ問題」の発生地の中国や、第1 波での感染者が急増したEU諸国で、この「PCR検査の徹底」の方法で、「コロナ問題」の収束に、一定の成功を収めることができています。さらに、この方法を用いなかったために、現在、世界一の感染者数を持つ米国でも、最近、ニューヨーク市では、この方法の適用で、「コロナ問題」の収束に見事な成功を収めています。

一方で、3密回避の「外出の8割自粛削減対策」の実施で、この「PCR検査」の数が、中国やEU諸国に較べて、一桁から二桁も少ないままで、一時的に、感染者増加を抑えた日本でも、第2波の感染者数の急増を抑えるために、遅ればせながら、この「PCR検査の徹底」の方法を採用しようとしています。しかし、この「PCR検査の徹底」での費用が問題になるのではとの錯覚から、その初動が遅れました。今頃になって、やっと、政府も、「コロナ問題」の収束には、この方法しかないことを認めたようです。対策費用も、私どもの試算結果(文献1 )に示すように、「コロナ問題」の収束の方法として最も安価ですから、現在、何の対策も講じられないで、感染者数の増加が止まらない途上国でも利用できます。

 

⓶ 地球上の化石燃料資源の枯渇が迫るなかでは、世界の全ての国が協力して、私どもが提案する「化石燃料消費節減の方法」を実施すれば、IPCC(気候変動に関する政府間パネル、国連の下部機構)が訴える地球温暖化の危機はやってきません

いま、深刻な状況に陥っている「コロナ問題」には、未だ収束の目途が立っておらず、それまでに、どれほどの犠牲を払わなければならないかの予測はつきませんが、人類の知恵は、いずれは、この試練を何とか解決するでしょう。

そこで、出て来るのは、この「コロナ問題」が起こる前に、人類にとっての持続可能な将来社会に大きな影響を与えるとして、その対策に大きな国際的な関心が集まっていた、「地球環境問題」、すなわち、「地球温暖化問題」でしょう。いや、この「コロナ問題」で大騒ぎしているなかでも、地球環境保護団体や、これに同調するメデイアなどは、この「地球温暖化問題」を取り上げて、政府に、その対策を急ぐことを訴えています。

これに対して、以前から、いま、「地球温暖化問題」について世界の政治をリードしているIPCC(気候変動に関する政府間パネル、国連の下部機関)が主張する「地球温暖化のCO2原因説」には、科学的には問題があると主張してきた私ども(私どもの近刊(文献 1 )参照)と同様な主張を行っておられる、IPCCの評価委員を務められた杉山太志氏は、今回の「コロナ問題」に関連して、この問題の収束後に再び問題となるであろう「地球温暖化の防止対策」について、IPCCの主張を厳しく批判する論考(文献 2 )を発表されました。

この論考(文献 2 )で、杉山氏は、世界経済に大きな影響を与える、台風、ハリケーン、洪水、猛暑などの異常気象が地球温暖化のせいだとするIPCCの主張には科学的な根拠がないことを、統計データの丁寧な調査をもとに明らかにするとともに、いま、「コロナ問題」による世界経済の沈滞からの再生を目的とした投資を行っても、世界経済の再生は困難と考えるべきだとし主張して居られます。

いま、IPCCは、地球温暖化が、化石燃料の消費により排出される温室効果ガス(その主体は二酸化炭素(CO2))の排出削減にお金をかける方法の使用を提案していますが、これに対して、私ども(文献 1 )は、お金をかけなくともCO2の排出を削減できる方法として、「化石燃料消費を節減する方法」を提案しています。具体的には、全ての国が協力して、今世紀いっぱいの一人当たりの年間平均の化石燃料消費量を2012年の世界平均の値に等しくすればよいのです。この方法はまた、いま、トランプ米大統領以外の全ての国の合意で進められている「パリ協定」のCO2排出削減目標を、それぞれの国の化石燃料消費の節減目標に置き換えることで、実行可能となるのです。

これを、言い換えれば、杉山氏(文献 2 )が言われるように、IPCCが主張する温暖化のCO2原因説には、科学的な根拠がないことになります。なお、IPCCが、自分たちが主張する温暖化のCO2原因説にこだわり、世界の政策担当者に対し、温暖化対策のため投資を訴えていることに対し、杉山氏は、かつて、IPCCの温暖化のCO2原因説を批判する論考(文献 3)のなかで、“ IPCCが、自分たちの主張を裏付けるための研究に必要な予算を獲得するための科学のモラルに反する犯罪行為だ” と厳しく批判しておられることを付記します。

 

⓷ 化石燃料の枯渇が迫り、世界経済の成長が抑制されるなかでは、IPCCが訴える温暖化の脅威を防止するための財政投資をする余裕はありません

地球温暖化対策の費用と、その効果について考えてみます。ここで、地球温暖化対策の費用とは、地球温暖化を防止するための投資額のことです。一方、効果とは。地球温暖化を防止できたことによる経済的な利益です。しかし、上記(⓶)したように、地球上の化石燃料資源の枯渇が迫るなかで、私どもが主張するように、世界の全ての国が協力して、化石燃料消費を節減すれば、温暖化対策の費用はゼロで済むのです。

もう一つ、温暖化防止の目的で、世界各国のエネルギー政策のなかに入り込んでいるのが、石炭火力発電の排除です。現在、貧困な発展途上国の成長のエネルギーを供給している、最も安価な電力を供給している石炭火力発電の排除が、いま、世界の主として先進諸国の共通の合意になっています。温暖化を促進するCO2を多量に排出するからとして、嫌われ者になっている石炭火力発電ですが、その使用が排除されると、先進国と途上国の間の貧富の格差が拡大します。さらに、この石炭火力発電の排除のなかには、日本の火力発電技術の輸出に対する国内外の反対もあります。いま、先進国と途上国の間の貧富の格差の解消に貢献しているのが、この日本の優れた石炭火力発電技術の輸出です。この石炭火力の排除は、その代替として、天然ガス発電などのより高価な電力の利用を必要として費用が嵩むだけでなく、貧富の格差の拡大を招き、大きなマイナスの効果しかもたらさないのです。

この石炭火力発電について、杉山氏は、その近刊(文献2 )で、「日本の石炭戦略」として、化石燃料の枯渇が迫るなかで、「温暖化問題」を起こさない日本の石炭火力は、途上国を主体とする電力供給の安全保障のための自由と世界平和の維持に重要な役割を担うべきだとしています。

 

⓸ 貧富の格差の解消による世界平和の維持に大きな影響を与えようとしている各国のエネルギー政策における融和・協調こそが求められます

今回の「コロナ問題」が発生する以前に、世界中を大騒ぎさせていたのは、「地球温暖化問題」でした。杉山太志氏が言うように、IPCCがつくり出した「温暖化物語」によって、地球が大変なことになるとの温暖化を防ぐために、その原因となるとされる各国のCO2の排出削減目標を決める「パリ協定」のための2019年暮れに開催されたCOP 25(第25回 気候変動枠組条約締約国会議)において、上記(⓷)した、日本における石炭火力の排除と、それによるエネルギー(電力)の供給を補うための世界各国での再エネ電力のいますぐの導入が求められたのです。

しかし、現在の再エネ電力は、それを生産するための設備の製造などに、石炭を主とした化石燃料が用いられています。したがって、再エネ電力の利用は、化石燃料資源が枯渇して、再エネ電力を使って再エネ電力を生産しなければならなくなってからの利用でもよいのです。
すなわち、現在の石炭火力発電のコストが、再エネ電力の生産コストより安価な間は、石炭火力発電を使えばよいのです。それでは、CO2の排出量が増えて温暖化が進行すると言われる方が居られるかも知れません。しかし、私どもの調査結果では、現状の化石燃料の確認可採埋蔵量(現在の科学技術の力と経済力で採掘可能な資源量)を使い果たしても、IPCCが主張する温暖化が脅威となるCO2の排出は起こりません。ただし、将来的には、科学技術の進歩で、可採埋蔵量が増えるかも知れません。しかし、その時でも、私どもが主張するように、世界の全ての国が協力して「化石燃料消費量の節減」を行えば、IPCCが主張するような温暖化の原因となるCO2の排出を削減することができるのです。具体的には、これも私どもが提案するように(文献 1 )、「パリ協定」でのCO2排出削減を、化石燃料消費の節減に替えればよいのです。

この「パリ協定」の目標変更こそが、世界経済が、「コロナ問題」により落ち込んだ世界経済を再生できる唯一の道なのです。では、何故、温暖化問題について、科学の原理に悖るような判断が、有識者と呼ばれるエネルギー政策が、IPCCにより主張され、この主張が、国のエネルギー政策として実施されるのでしょうか? この問題について、IPCCの評価委員を務められた杉山太志氏は、先に、IPCCがつくり出した「温暖化物語」を批判された論考(文献 3 )において、

“ 政治が科学に優越しており、政治的利益や、経済的利益を生み出す「温暖化物語」に大多数の科学者、識者が従属して、各国政府と研究者の間に共同の利権構造ができているとしています。・・・・・科学者は科学を貫いて、時には一身を賭して権威・権力と対決しなければならないことがある。それが長い目で見て人類の繁栄をもたらした。ガリレオ、ダーウインも然り。既存の「物語」にぶら下がり、安逸をむさぼるのは、科学の犯罪である。”

と、「温暖化物語」を終焉させるためのご自身の並々ならぬ決意を表明しています。

 

<引用文献>

  1. 久保田 宏、平田 賢太郎; 温暖化物語が終焉します いや終わらせなければなりません。化石燃料の枯渇後に、日本が、そして人類が、平和な世界に生き残る道を探ります、Amazon 電子出版、Kidle,2019年11月
  2. 杉山太志 ;コロナ後の温暖化対策、キャノングローバル研究所、CGS Working Paper Series、 20-31
  3. 杉山太11志;温暖化物語は修正すべし、ieei、2019/07/01

 

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久保田 宏(くぼた ひろし)
1928年生まれ、北海道出身。1950年、北海道大学工学部応用化学科卒業、工学博士、
東京工業大学資源化学研究所 教授、同研究所資源循環研究施設長を経て、1988年退官、
東京工業大学 名誉教授、専門は化学工学、化学環境工学。日本水環境学会 会長を経て名誉会員。JICA専門家などとして、海外技術協力事業に従事。中国同済大学、ハルビン工業大学 顧問教授他、日中科学技術交流により中国友誼奨賞授与。

著書に『解説反応操作設計』『反応工学概論』『選択のエネルギー』『幻想のバイオ燃料』
『幻想のバイオマスエネルギー』『原発に依存しないエネルギー政策を創る』(以上、日刊工業新聞社)、『重合反応工学演習』『廃棄物工学』(培風館)、『ルブランの末裔』(東海大出版会)、『脱化石燃料社会』(化学工業日報社)、『林業の創生と震災からの復興』(日本林業調査会)、『改訂・増補版 化石燃料の枯渇がもたらす経済成長の終焉—科学技術の視点から、日本経済の生き残りのための正しいエネルギー政策を提言する、電子出版 Amazon Kindle版 2017年2月』、『シェール革命は幻想に終わり現代文明社会を支えてきた化石燃料は枯渇の時を迎えます-科学技術の視点から、日本経済の生き残りのための正しいエネルギー政策を提言する―、電子出版 Amazon Kindle版 2019年10月』、『温暖化物語が終焉しますいや終わらせなければなりません-化石燃料の枯渇後に、日本が、そして人類が、平和な世界に生き残る道を探ります-電子出版 Amazon Kindle版 2019年11月 』他。

E-mail:biokubota@nifty.com

 

平田 賢太郎(ひらた けんたろう)
1949年生まれ、群馬県出身。東京工業大学大学院理工学研究科化学工学専攻修士課程修了。三菱油化株式会社入社、化学反応装置・蒸留塔はじめ単位操作の解析、省資源・省エネルギー解析、プロセス災害防止対応に従事し2011年、三菱化学株式会社退職。2003年 技術士(化学部門-化学装置及び設備)登録。現在、Process Integration Ltd. 日本事務所および平田技術士・労働安全コンサルタント事務所代表。公益社団法人日本技術士会 中部本部 本部長。著書に、『化学工学の進歩36”環境調和型エネルギーシステム3.3 石油化学産業におけるシナリオ”』(槇書店)、『改訂・増補版 化石燃料の枯渇がもたらす経済成長の終焉—科学技術の視点から、日本経済の生き残りのための正しいエネルギー政策を提言する、電子出版 Amazon Kindle版 2017年2月』、『シェール革命は幻想に終わり現代文明社会を支えてきた化石燃料は枯渇の時を迎えます-科学技術の視点から、日本経済の生き残りのための正しいエネルギー政策を提言する―、電子出版 Amazon Kindle版 2019年10月』、『温暖化物語が終焉しますいや終わらせなければなりません-化石燃料の枯渇後に、日本が、そして人類が、平和な世界に生き残る道を探ります-電子出版 Amazon Kindle版 2019年11月 』他。

E-mail: kentaro.hirata@processint.com

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