「PCR検査の徹底」で、「新型コロナウイルス問題(以下、「コロナ問題」と略記)」を速やかに収束させて、東京オリンピックの開催を実現しましょう

東京工業大学名誉教授  久保田 宏
日本技術士会中部本部 本部長 平田 賢太郎

(要約);

⓵ 「新型コロナウイルス問題(以下、「コロナ問題」と略記)」で延期された東京オリンピックは「コロナ問題」が収束しない限り、その開催が保証されません。

⓶ 第2波に突入した「コロナ問題」は、3 密回避の対策のみでは、一時的な収束しかできません。この「コロナ問題」の完全な収束無しのオリンピックの開催は困難と考えるべきです

⓷ 東京オリンピック開催を唯一可能にする方法は、「PCR検査の徹底」です。日本政府には、この「PCR検査の徹底」でオリンピックの開催を実現する責任があります

⓸ 付記;お盆の里帰りの希望者に「PCR検査」の実施を

 

(解説本文);

⓵ 「新型コロナウイルス問題(以下、「コロナ問題」と略記)」で延期された東京オリンピックは「コロナ問題」が収束しない限り、その開催が保証されません。

いま、「コロナ問題」での感染者数の増加が止まらない状態が、東京都だけに限らず、全国に広がり、日本における「コロナ問題」の収束には、全く目途が立たない状態、すなわち、いわゆる「コロナ問題」が第2波に追い込まれることが、どうやら、確実になりつつあります。日本におけるこの状態は、単に、日本経済に大きな影響を与える厳しい状況が生み出されているだけでなく、「コロナ問題」で来年に延期された東京オリンピック・パラリンピックが、果たして開催できるかどうかの厳しい問題を引き出しています。

IOC(国際オリンピック委員会)に、東京オリンピックの開催を認めて頂くためには、世界の全ての国において、この「コロナ問題」が収束されていることが求められはずです。そのためには、この新型コロナウイルスの感染力を消滅させるワクチンの開発・実用化が必須です。しかし、このワクチンの開発・実用化では、安全性の確認と、その使用上の手続きに時間がかかりますから、IOCが要請する、いますぐの収束には間に合いません。そこで、考えられたのが、先ず、日本国内の「コロナ問題」を、その感染の第1波の段階で収束させることでした。そのための対策として、政府は、4月7日、全国一斉の緊急事態宣言を発令するとともに、3密回避のための自主的な「外出の8割減」を国民に要請しました。国民が素直にこの要請に応じたので、これにより、「コロナ問題」が収束できたと判断した政府は、東京都などの大都市での感染者ゼロが達成していないなかで、5月25日、緊急事態宣言を解除するとともに、「コロナ問題」での経済の落ち込みを避けるとして、3 密回避のための飲食店での休業要請等の大幅な緩和策を採りました。その途端に、東京都の感染者数の急増が始まったのです。この状況について、小池東京都知事は、この感染者数の急増の原因になった、クラスター(集団感染)を解消するための、「PCR検査」数を増やしているせいだと説明しています。しかし、実際には、「検査数」を増やせば増やすほど、感染者数が増加する鼬ごっこが続いています。

さらに、その後、感染者数の増加が東京都以外の大都市を主体に、全国に拡大し、いまや、「コロナ問題」の第2波が始まったのではないかとの深刻な状況に陥ろうとしています。したがって、来年のオリンピックの開催を可能にするためには、「コロナ問題」を、いますぐ、確実に収束させる方法が求められています。

 

⓶ 第2波に突入した「コロナ問題」は、3 密回避の対策のみでは、一時的な収束しかできません。この「コロナ問題」の完全な収束無しのオリンピックの開催は困難と考えるべきです

この深刻な状態のなかでも、政府は、「コロナ問題」により、直接的に大きな経営上の危機を招いている観光・旅行業者を救済するために、利用者の宿泊や日帰りの旅行代金の半額程度を国が補助するためとして、1.35 兆円規模の国民にとっての大事なお金を使おうとするGo toトラベルキャンペーンを計画しました。これに対して、都道府県知事や、感染症の専門家などのあいだから、本来、このような、経済振興対策は、「コロナ問題」が収束してから始められるべきで、この完全な収束が得られていない現状での実施は、コロナバラマキ政策だとの反対がありました。それにも拘わらす、政府は、これらの反対を押し切る形で、感染者数の増加が止まらないままの東京都の発着を除外して、この計画の実施を強行しました。ところが、このGo toトラベル事業の実施が決まると同時に起こったのが、その収束の目途がつかなくなって、第2波のパンデミック(感染爆発)が懸念される、感染者数の増加の東京都以外の全国への急速な拡大です。

もし、「コロナ問題」の第2波の「感染爆発」が始まってしまったとすれば、第1波の時に用いて成功を収めた3 密回避の「外出自粛対策」などの適用のみでは、感染者数の増加を減少させることができないのです。それが、緊急事態宣言の解除による3密回避対策の緩和により、統計上の感染者数の急増となって表れているのです。本来、「コロナ問題」の完全収束のためには、先の第1波の時に、3密回避対策の実施とともに、潜在的な感染者数を減らすために、私どもが早くから主張してきた(文献 1 参照)「PCR検査の徹底」を実施すべきだったのです。ここで、「PCR検査の徹底」とは、「PCR検査」を国民の全てに対して実施することで、感染源となり得る、無症状者を含む全ての感染者を未感染者から隔離するとともに、感染者に適切な治療を施し、重症化を防ぐことです。

本来、この「PCR検査の徹底」は、感染者数増加の少ない第1波の段階で実施すべきでしたが、感染者数の増加がかなり多くなってしまってから、この「PCR検査の徹底」を実施した中国、EU諸国、韓国では、この「PCR検査の徹底」の方法で、「コロナ問題」の収束に、一定の成果を収め、第2波の襲来を防ぐことにある程度成功しているようです。

これに対して、感染者数の比較的に少なかった第1波の段階で、3密回避の自主的な「外出自粛」対策のみの実施で、「コロナ問題」の収束に一時的な成果を収めた日本の場合、いま、起ころうとしている第2波の到来のなかでも 第1波の時の対策に固執して、「PCR検査の徹底」のために必要な「PCR検査能力」の増強に余り熱心ではありません。感染者数の増加が過去の記録の更新を続けている7月下旬でも、東京都の「PCR検査」能力は、1日5千人台です。一方で、感染者数が日本に較べ圧倒的に多い米国で、この「PCR検査の徹底」を実施して、感染者数を1日数人、死者ゼロを達成したニューヨーク市の「PCR検査能力」は、一桁以上多い1日7万人と報道されています。これでは、とてもオリンピックの開催に必要な「コロナ問題」の完全収束はできません。

しかし、「コロナ問題」が始まった頃、24 組の検査が同時に行える全自動の「PCR検査」のキットを製造したが、国内で使って貰えなくてフランスなどに輸出したと聞く日本の医療機器製造産業は、全国民の検査を一月以内で終わらせる「検査」能力をつくることなど簡単にできるはずです。政府が、その気になって、機器製造の費用を負担するかどうかだけが問題です。

 

⓷ 東京オリンピック開催を唯一可能にする方法は、「PCR検査の徹底」です。日本政府には、この「PCR検査の徹底」でオリンピックの開催を実現する責任があります

いま、日本において、「コロナ問題」によって延期されたオリンピックの開催を可能にする唯一の方法は、「コロナ問題」の収束のための「PCR検査の徹底」以外にありません。

この「PCR検査の徹底」を阻んでいる一つが、この「PCR検査の徹底」による感染者数の一時的な大幅な増加が、医療崩壊を招くとの懸念が、感染症の専門家の方々の間にもあることです。しかし、この懸念は、「コロナ問題」について、政府が、専門家の提言にまともに対応してくれないことへの政府への不信から来ているのではないかとも考えられます。「PCR検査」で陽性と判定された人々を、隔離し、適正な治療を受けさせる医療設備を整備して、医療崩壊を起こさないようにすることは、政府に課せられた逃れることのできない義務です。政府には、その費用負担を含めたこの問題の解決に全責任をもつことが求められるべきです。

「PCR検査の徹底」を実施するためのもう一つの問題として、検査費用の負担の問題があります。感染症の専門家の方のなかにも、この費用を問題にしておられる方が居られます。しかし、この問題についても、先の私どもの論考(文献 2 )に記したように、検査費用を1件当たり1.35 万円とし、これに人口1.27億を乗じた金額は、1,500億円程度ですから、上記(⓶)した、不要な国のGo toトラベルキャンペーンでの政府の予算額の1.35兆の1/10程度にしかなりませんから、国が全額を負担することに何の問題もありません。

[コロナ問題]の処理に責任を持つ政府にとっての残された問題は、この「コロナ問題」についての政策変更を、どのように国民に説明するかです。詳細は、私どもの論考(文献 2 )に譲りますが、いま、「コロナ問題」の収束に時間がかかれば、日本は、大きな赤字財政(国際金融における借金)を抱え込むことになるのです。「コロナ問題」の完全収束により、予定通りに来年のオリンピックを開催できるようにすることこそが、日本経済の立て直しのためにも求められなければなりません。もし、政治権力の維持を目的として、必ずしも、国民の合意になっているとは言えない福島第一原発事故後の放射性廃水処理水が完全にコントロールされていると大見えをきって誘致した、東日本大震災の復興を記念するオリンピックが開催できなければ、安倍晋三首相には、その責任を取って辞めて頂くほかありません。また、一方で、私どもの提案に従って、オリンピックの開催に成功し、それを花道にして、首相の座を退いて頂ければ、国民は大喜びするでしょう。

 

 ⓸ 付記;お盆の里帰りの希望者に「PCR検査」の実施を

いま(8月3日)、「コロナ問題」に関連して、お盆での里帰りの是非が、にわかに問題になっています。里のお年寄りにコロナの感染を恐れて、里帰りをためらっている方が大勢いるのです。これらの方全てに「PCR検査」が実施できるようにして頂けば、この問題は、容易に解決できるのです。

 

<引用文献>

  1. 久保田 宏、平田賢太郎;「新型コロナウイルス問題(以下、「コロナ問題」と略記)を一刻も早く収束させるためには、PCR検査が全ての国民に実施されるべきです。それは、「コロナ問題」を解決して、日本経済の危機を救う唯一の道であり、政治に課せられた責務です、シフトムコラム、2020/05/13
  2. 久保田 宏、 平田賢太郎;「新型コロナウイルス問題(以下、「コロナ問題」と略記)」に関する緊急のお願いです。この「コロナ問題」で延期された東京オリンピックの開催を決めるためには、全ての国民への「PCR検査」を実施して、ワクチンの完成を待たずに、速やかに、この「コロナ問題」を完全収束させなければなりません、シフトムコラム 2020/07/06

 

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久保田 宏(くぼた ひろし)
1928年生まれ、北海道出身。1950年、北海道大学工学部応用化学科卒業、工学博士、
東京工業大学資源化学研究所 教授、同研究所資源循環研究施設長を経て、1988年退官、
東京工業大学 名誉教授、専門は化学工学、化学環境工学。日本水環境学会 会長を経て名誉会員。JICA専門家などとして、海外技術協力事業に従事。中国同済大学、ハルビン工業大学 顧問教授他、日中科学技術交流により中国友誼奨賞授与。

著書に『解説反応操作設計』『反応工学概論』『選択のエネルギー』『幻想のバイオ燃料』
『幻想のバイオマスエネルギー』『原発に依存しないエネルギー政策を創る』(以上、日刊工業新聞社)、『重合反応工学演習』『廃棄物工学』(培風館)、『ルブランの末裔』(東海大出版会)、『脱化石燃料社会』(化学工業日報社)、『林業の創生と震災からの復興』(日本林業調査会)、『改訂・増補版 化石燃料の枯渇がもたらす経済成長の終焉—科学技術の視点から、日本経済の生き残りのための正しいエネルギー政策を提言する、電子出版 Amazon Kindle版 2017年2月』、『シェール革命は幻想に終わり現代文明社会を支えてきた化石燃料は枯渇の時を迎えます-科学技術の視点から、日本経済の生き残りのための正しいエネルギー政策を提言する―、電子出版 Amazon Kindle版 2019年10月』、『温暖化物語が終焉しますいや終わらせなければなりません-化石燃料の枯渇後に、日本が、そして人類が、平和な世界に生き残る道を探ります-電子出版 Amazon Kindle版 2019年11月 』他。

E-mail:biokubota@nifty.com

 

平田 賢太郎(ひらた けんたろう)
1949年生まれ、群馬県出身。東京工業大学大学院理工学研究科化学工学専攻修士課程修了。三菱油化株式会社入社、化学反応装置・蒸留塔はじめ単位操作の解析、省資源・省エネルギー解析、プロセス災害防止対応に従事し2011年、三菱化学株式会社退職。2003年 技術士(化学部門-化学装置及び設備)登録。現在、Process Integration Ltd. 日本事務所および平田技術士・労働安全コンサルタント事務所代表。公益社団法人日本技術士会 中部本部 本部長。著書に、『化学工学の進歩36”環境調和型エネルギーシステム3.3 石油化学産業におけるシナリオ”』(槇書店)、『改訂・増補版 化石燃料の枯渇がもたらす経済成長の終焉—科学技術の視点から、日本経済の生き残りのための正しいエネルギー政策を提言する、電子出版 Amazon Kindle版 2017年2月』、『シェール革命は幻想に終わり現代文明社会を支えてきた化石燃料は枯渇の時を迎えます-科学技術の視点から、日本経済の生き残りのための正しいエネルギー政策を提言する―、電子出版 Amazon Kindle版 2019年10月』、『温暖化物語が終焉しますいや終わらせなければなりません-化石燃料の枯渇後に、日本が、そして人類が、平和な世界に生き残る道を探ります-電子出版 Amazon Kindle版 2019年11月 』他。

E-mail: kentaro.hirata@processint.com

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