感染者数の増加の深刻な状態が続くなかで「PCR検査の徹底」によって「コロナ問題」を完全収束できれば、政権維持のために国民の大事なお金を使うGo to トラベル キャンペーンは不要となり、延期された東京オリンピックの実施も可能となります

東京工業大学名誉教授  久保田 宏
日本技術士会中部本部 本部長 平田 賢太郎

(要約);

⓵「コロナ問題」が収束できれば、この「コロナ問題」で経営危機に陥った観光産業を救うためのGo to トラベルキャンペーンで、大事な国民のお金を使う必要はなくなります

⓶「コロナ問題」を一刻も早く収束させるためには、「PCR検査の徹底」こそが求められます

⓷「PCR 検査の徹底」による「コロナ問題」の収束があって初めて、「コロナ問題」で延期された「東京オリンピック」の実施が可能となります

 

(解説本文);

⓵ 「コロナ問題」が収束できれば、この「コロナ問題」で経営危機に陥った観光産業を救うためのGo to トラベルキャンペーンで、大事な国民のお金を使う必要はなくなります

いま、「新型コロナウイルス問題(以下、「コロナ問題」と略記)」が、世界の経済発展を大きく阻害するようになってから、この経済の落ち込みを救済しようとして行政が多額の補正予算を組むなどの国家財政の赤字を増加させ、日本経済を破綻の淵に追い込もうとしています。そのなかで、いま、大きく世間を騒がせているのが、「Go to トラベルキャンペーン」です。この事業は。コロナ問題で、利用客が大幅に落ち込んで経営危機にある観光・旅行業界を救済するために、予算規模1.35兆円で、宿泊や日帰りの旅行代金の半額程度を国が補助するものです。当初の8月開始の予定を前倒しして事業を開始すると発表した7月10日に、東京都で、過去最高の感染者数の増加243 人/日が記録されました。これ以降、地方の県知事の一部などから、このキャンペーンは、コロナのバラマキキャンペーンだとして、実施時期見直しの要請が出てきました。さらに、野党の反対もあり、にわかに、大きな政治問題に発展しました。

問題は、このキャンペーンの計画が発表されてから、東京都を中心にクラスター(集団感染)による感染者数の増加に歯止めがかからなくなり、さらには、この東京都のクラスターが地方に移行する非常に深刻な状態が続いていることです。この現状について、小池東京都知事は、これは、クラスターを消滅するための「PCR検査」数を増加していることによる一時的な現象だと説明しています。

政府による緊急事態宣言の発令で、全国一斉に、3密回避の「自主的な外出自粛の8割減」の実施で、一日当たり感染者数が一桁まで減少したとして、緊急事態宣言を解除した途端に、都内の接待付きのキャバクラなどでクラスターが発生し、慌てた東京都は、このクラスターの発生地を中心に「PCR検査」数を増やしているようです。しかし、現状の検査数の増加では、緊急事態宣言解除後の3 密回避要請の緩和後に発生した潜在的なクラスターが見つかるだけですから、「PCR検査」を増やせば増やすほど、感染者数を増加するのは当然のことです。この東京都における感染者の再増加は、「コロナ問題」が新しい段階に入っており、このまま放置すると、やがて、取り返しのつかないパンデミック(感染爆発)が起こる科学的な証拠があると警告を発する専門家の先生も出てきました。

この「PCR検査」数の増加と、それによる感染者の増加の鼬ごっこを終わらせるためには、何とかして、一刻も早く、この「コロナ問題」を収束させる以外に方法がありません。具体的には、感染者の急増の抑え込みに成功した西欧諸国や、中国、韓国などにおけるように、人口当たりの「PCR検査」の数を、下記(⓶)するように、現在の一桁から二桁以上に増やす、「PCR検査の徹底」以外にないと私どもは考えます。すなわち、この「PCR検査の徹底」で、「コロナ問題」の完全な収束が達成されれば、日本経済は、元の正常に近い状態にもどるはずですから、Go to キャンペーンなどで、経済成長の継続を願う国民の歓心を買うために、国民の大事なお金を使う必要は無くなるのです。

ところで、いま、感染者数の増加が止まらない異常事態の発生のなかでの、このGo to トラベルキャンペーンでは、多くの国民による、この事業見直しの要請に応える形で、政府は、この事業を全国一斉に実施するとの原案を変更して、急遽、東京都発着を対象外とすることを決めました。ただし事業開始の7月22日は据え置かれたままでした。

この東京都発着を対象外としたGo to トラベル事業で、どれだけ観光・旅行業界の再生の効果が期待できるかの試算が政府によって行われたとは考えられませんが、この東京都の除外について、菅官房長官と小池都知事とのさや当てが報じられたり、この事業の実施を期待した消費者の観光・旅行企業との間の予約金の払い戻しに応じないとしていた政府が、急に方針を変更したりなど、私どもには信じられないような不条理な政府の対応が報じられました。しかし、このような小手先の変更で、世論をつなぎ留める政策は、もはや限界に来ているとしか言えません。

いずれにしろ、上記したように、「コロナ問題」が収束できれば、観光・旅行業界の経営状態は、元に戻るはずですから、今回の政府によるGo to トラベル事業で、国民の大事なお金を使って観光産業の経営を助ける必要はどこにもないのです。いま、日本経済にとって大事なことは、このような訳の分からないGo toトラベル事業を見直すことでなく、この事業自体を廃止することでなければなりません。それができないのであれば、今回の「コロナ問題」で、日本経済を破綻の淵に追い込もうとしている安倍政権には、退いて貰うしかありません。

 

⓶「コロナ問題」を一刻も早く収束させるためには、「PCR検査の徹底」こそが求められます

上記(⓵)したGo to トラベルキャンペーンの目的は、コロナ問題で不況に落ち込んだ観光・旅行産業の経営状況をできるだけ元に戻そうとするものです。そのために国の財政赤字(次世代への借金)の積み増しが行われようとしているのです。これは、Go to トラベルキャンペーンだけではありません。「コロナ問題」での経済再生を目的とした事業に必要なお金は、全て同様の方式で賄われようとしています。しかし、この金くい虫の「コロナ問題」を速やかに収束する方法があれば、この「コロナ問題」による経済の沈滞を防ぐために使われる金額を最小にすることができるのです。

それが、私どもが所属するもったいない学会のシフトムコラムの私どもの論考(文献 1 )に提案した「PCR検査の徹底」です。この徹底とは、できれば国民の全てに「PCR検査」を施して、無症状を含む全ての感染者を、未感染者から隔離し、その患者に可能な限り速やかに適正な医療を施して、その重症化を防ぐことです。もちろん、「PCR検査の検出精度」が70 % 程度と言われている現状では、この「PCR検査」に絶対的な信頼を置くことはできないかも知れませんが、抗原検査や抗体検査を援用することで、精度を上げることができるのではないでしょか?いずれにしろ、現状で「コロナ問題」の完全な収束にはこの方法しかありません。

この「PCR検査の徹底」に反対していた厚労省のお役人などは、先ず、この方法で隔離される感染者数が多くなれば、隔離用の医療施設が不足して医療崩壊が起こると主張されていました。しかし、そこを何とかするのが、行政の役目なはずでした。日本の場合、この「PCR検査」の実施を、取り敢えずは、感染者数の増加が続いている東京都などを中心として行い、さらに、3密回避のための非常事態宣言下での外出自粛や飲食店の休業要請も同時に実施することで、「コロナ問題」の収束を速めることが期待できたはずです。

この「PCR検査の徹底」によるコロナ問題収束の方法は、現在では、感染症専門の先生方の多数にも支持されるようになってきましたが、その実効性を疑う方は、いま、日本には、とてもそんなに沢山の検査を行う能力がないと反論されます。しかし、そんなことはありません。例えば、日本でも多数の検査を迅速に自動的に行える検査キットが開発されましたが、国内では使ってもらえなくて、フランスなどに輸出されたと聞いています。また、検査の数も、必ずしも全国民でなくてもよいので、上記したように、取り敢えずは、東京都及びその周辺都市などに限っての実施でもよいのです。

また、この「PCR検査の徹底」が困難な理由として、検査費用の問題を挙げられる方も居られます。しかし、この「PCR検査」の費用は、1件当たり1.35万円とされていますから、これに日本の人口1.27億人を乗じても、総額は、1.7兆円程度で済みます。すでに、「コロナ問題」の見舞金として全国民に配られた「コロナ問題」の収束には何の貢献もしない一人当たり「一律十万円」に人口1.27億を乗じた約12兆円と較べれば、安いものです。また、この「PCR検査の徹底」は、新興・途上国でも、先進国の経済的な支援の下で適用できる「コロナ問題」収束の唯一の方法であると言ってよいでしょう(文献 1 参照)。

いずれにしろ、欧米や中国、韓国などで実施して、成功を収めた「PCR検査の徹底」による「コロナ問題」の収束が、科学技術の先進国を誇る日本で実行できないはずはありません。この完全収束が実現できて、はじめて、「コロナ問題」収束後の日本は、Go to キャンペーンなどで、不要のお金を使わないでも、在来通りの経済活動が可能となるのです。

 

⓷「PCR 検査の徹底」による「コロナ問題」の収束があって初めて、「コロナ問題」で延期された「東京オリンピック」の実施が可能となります

コロナ問題の完全な収束のためには、コロナウイルスに耐性のあるワクチンと治療薬の開発の完成を待たなければならないとされています。これらの開発研究は、今回の「コロナ問題」が発生すると同時に、世界各国で積極的に進められてきました。しかし、その実用化では、それらの使用上での安全性の確認のための臨床試験の実施と、行政による使用許可の承認手続のために年単位の時間が必要とされています。

ところが、いま、日本にとって、と言うよりも、安倍政権にとっては、 [コロナ問題]で、そんな悠長なことをしていられない、すなわち、一刻も早く、「コロナ問題」の収束を図らなければならない事情があります。それは、今回の「コロナ問題」の発生で、来年に延期されることが決められた東京オリンピック・パラリンピックを予定通り開催するためには、今秋中に、「コロナ問題」を収束することが、IOC(国際オリンピック委員会)から求められているはずだからです。

国民の多数が関心をもつ、このオリンピック開催の難しい問題について、口を閉ざしてきた政府は。「コロナ問題」の収束の目途が立たない状況のなかで、今頃になって、来年のオリンピックは、予定の日程で、予定の競技種目で行うと発表しました。しかし、本当にできるのでしょうか?

このオリンピックの開催を目的とした「コロナ問題」の収束は、本来は、世界の「コロナ問題」の収束でなければなりません。しかし、現状で、感染者の増加が継続している米国やブラジルにおけるように、政治の権力者が、経済の発展を優先して、この「コロナ問題」の収束を積極的に進めようとしていない国がある以上、世界の全ての国の協力を得て、世界の「コロナ問題」を短期間に収束させることは不可能と考えるべきでしょう。

この現状のなかで、日本として、考えられるのが、上記(⓶)したように、「コロナ問題」の収束のための唯一の方法と考えてよい「PCR検査の徹底」により、何とか、国内の「コロナ問題」が収束できたと国際的にも認めて貰える状況をつくるとともに、海外からの感染者の入国を阻止できる「PCR検査」の設備が完備していることを、IOCにアッピールしなければならないと私どもは考えます。不幸にして、それができなかった時に、始めて、現在、日本で行われている感染防止のための3密回避の方法としての競技場での入場者数の制限や、マスクの着用などの次善の措置の採用をIOCに認めて貰うべきです。

これを言い換えれば、キャバクラにコロナ感染者が集まっている現状を「PCR検査の徹底」で、何とかして、早期に解消して、世界平和の象徴とも言えるオリンピックに集まる世界のアスリートの熱い思いに応えることが、かつて、戦争準備を理由に、オリンピックを返上した日本に、いま、強く求められていることを厳しく認識すべきです。

 

<引用文献>

1.久保田 宏、平田賢太郎;「新型コロナウイルス問題(以下、「コロナ問題」と略記)を一刻も早く収束させるためには、PCR検査が全ての国民に実施されるべきです。それは、「コロナ問題」を解決して、日本経済の危機を救う唯一の道であり、政治に課せられた責務です、シフトムコラム、2020/05/13

 

ABOUT  THE  AUTHOR

久保田 宏(くぼた ひろし)
1928年生まれ、北海道出身。1950年、北海道大学工学部応用化学科卒業、工学博士、
東京工業大学資源化学研究所 教授、同研究所資源循環研究施設長を経て、1988年退官、
東京工業大学 名誉教授、専門は化学工学、化学環境工学。日本水環境学会 会長を経て名誉会員。JICA専門家などとして、海外技術協力事業に従事。中国同済大学、ハルビン工業大学 顧問教授他、日中科学技術交流により中国友誼奨賞授与。

著書に『解説反応操作設計』『反応工学概論』『選択のエネルギー』『幻想のバイオ燃料』
『幻想のバイオマスエネルギー』『原発に依存しないエネルギー政策を創る』(以上、日刊工業新聞社)、『重合反応工学演習』『廃棄物工学』(培風館)、『ルブランの末裔』(東海大出版会)、『脱化石燃料社会』(化学工業日報社)、『林業の創生と震災からの復興』(日本林業調査会)、『改訂・増補版 化石燃料の枯渇がもたらす経済成長の終焉—科学技術の視点から、日本経済の生き残りのための正しいエネルギー政策を提言する、電子出版 Amazon Kindle版 2017年2月』、『シェール革命は幻想に終わり現代文明社会を支えてきた化石燃料は枯渇の時を迎えます-科学技術の視点から、日本経済の生き残りのための正しいエネルギー政策を提言する―、電子出版 Amazon Kindle版 2019年10月』、『温暖化物語が終焉しますいや終わらせなければなりません-化石燃料の枯渇後に、日本が、そして人類が、平和な世界に生き残る道を探ります-電子出版 Amazon Kindle版 2019年11月 』他。

E-mail:biokubota@nifty.com

 

平田 賢太郎(ひらた けんたろう)
1949年生まれ、群馬県出身。東京工業大学大学院理工学研究科化学工学専攻修士課程修了。三菱油化株式会社入社、化学反応装置・蒸留塔はじめ単位操作の解析、省資源・省エネルギー解析、プロセス災害防止対応に従事し2011年、三菱化学株式会社退職。2003年 技術士(化学部門-化学装置及び設備)登録。現在、Process Integration Ltd. 日本事務所および平田技術士・労働安全コンサルタント事務所代表。公益社団法人日本技術士会 中部本部 本部長。著書に、『化学工学の進歩36”環境調和型エネルギーシステム3.3 石油化学産業におけるシナリオ”』(槇書店)、『改訂・増補版 化石燃料の枯渇がもたらす経済成長の終焉—科学技術の視点から、日本経済の生き残りのための正しいエネルギー政策を提言する、電子出版 Amazon Kindle版 2017年2月』、『シェール革命は幻想に終わり現代文明社会を支えてきた化石燃料は枯渇の時を迎えます-科学技術の視点から、日本経済の生き残りのための正しいエネルギー政策を提言する―、電子出版 Amazon Kindle版 2019年10月』、『温暖化物語が終焉しますいや終わらせなければなりません-化石燃料の枯渇後に、日本が、そして人類が、平和な世界に生き残る道を探ります-電子出版 Amazon Kindle版 2019年11月 』他。

E-mail: kentaro.hirata@processint.com

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