原発ゼロ実現の道;アベノミクスのさらなる成長の政治目的のための原発維持政策の終焉が求められます

東京工業大学名誉教授  久保田 宏
日本技術士会中部本部 本部長 平田 賢太郎

はじめに; 人類の生存の道を閉ざす原子爆弾(原爆)の平和利用のためとして、また、やがて、確実にやって来る化石燃料資源の枯渇後、その代替としての開発・利用が進められてきた原発の使用に対し、3.11福島の過酷事故を契機として、国民の多数が、いますぐの廃止を求めています

第2次世界大戦の終結を早めようとして、米国で、その実用化・開発が進められた原子爆弾(原爆)が、広島、長崎でのとりかえしのつかない大惨禍を代償として、大戦の終結をもたらしました。この大戦後の世界経済の復興のためのエネルギーとして使われたのが、人類にとっての文明発祥の地でありながら、現代文明の発展に乗り遅れた中東地域で発見されたアラーの神の恵みとも言われた豊富な化石燃料(石油)資源でした。

しかし、この中東の石油に代表される化石燃料資源は、いずれは、確実に枯渇するとして、その代替のエネルギーが求められるようになりました。それが、第2次大戦後間もなく大きな期待を集めて開発、利用されるようになった原子力エネルギーの平和利用を目的とした原発電力でした。しかし、この原発電力の利用では。人類の恒久的な生存を脅かす放射能漏れを引き起こす重大事故が付き纏いました。スリーマイルとチェルノブイリに続いて、技術大国を自称する日本で、信じられないとされた3.11 福島第一原発の過酷事故が起こったのです。結果として巻き起こった「脱原発」への多数の国民の要望を阻んでいるのが、安倍政権による地球温暖化対策としての温室効果ガス(その主体は二酸化炭素CO2)の排出削減のための原発電力の利用を継続しようとするエネルギー政策です。具体的には、3.11の事故で稼働停止を余儀なくされた原発の再稼動です。

いま、政府は、3.11 事故後に新しく設定された安全対策基準に合格した運転停止中の原発を、国民の多数の反対を押し切って、順次、再稼動させようとしていますが、果たして、日本のエネルギー政策にとって、この再稼動を含めた原発電力利用の継続は必要なのでしょうか?

少なくとも、いま、稼働停止中の原発の電力が無くても、私どもの生活や産業用の電力には不自由していません。電力の生産には最も安価な石炭火力を当面利用しながら、やがて、石炭の輸入価格が高くなって、再生可能エネルギー(再エネ、自然エネルギーともよばれる)電力を用いる方が安価になった時に、いま、その開発・利用が進められている幾種類かの再エネ電力のなかから、最も安価で、利用可能(ポテンシャル)量の大きいな再エネ電力を選んで利用して行けばよいのです。

 

原発の利用で、3.11 福島のような過酷事故が起こらないとの保証はどこにもありません。使用済み核燃料の処理・処分の方法がないままに、発電コストが最も安いとする原発電力が、政治権力の保持のためのアベノミクスのさらなる成長のために継続して求められています。日本経済を破綻の淵に陥れないためにも、再稼動を含む原発電力の利用政策のいますぐの廃止、「原発ゼロ実現の道」が求められなければなりません

いま、日本では、3.11 以後、盛んに言われるようになった原子力村の住人とよばれる原子力科学の専門の先生方と原子力産業の経営者が、自分たちの権益を守るとして、これも最近言われるようになった地球温暖化の脅威を防ぐためには、その原因とされている温室効果ガス(その主体は二酸化炭素CO2)の排出削減のために、化石燃料代替の原発電力の利用が必要だとして、政治によるエネルギー基本計画と一体になって、在来の原発利用の政策を継続・推進しようとしています。

しかし、この現状を放置したままでよいのでしょうか? 恐ろしい原発事故が再び起こらないとの保証がどこにもありません。そのなかで、使用済み核燃料廃棄物の処理・処分の方法がないまま、原発が最も安価な電力を提供してくれるとのトリックを使って、原発電力の利用政策が継続・推進されているのです。これは、次世代に大きな経済的な負担を積み残す犯罪的な行為です。将来の日本経済を破綻の淵に陥れないためにも、「再稼動の廃止」を含むいますぐの「原発ゼロの実現」が求められなければなりません。

現代文明社会を支えてきた地球上の化石燃料資源の枯渇が確実に迫っているなかで、世界経済の発展(成長)が抑制され、資本主義社会が終焉を迎えようとしていますが、いますぐ、「原発ゼロ」を実行しても、日本の生活と産業に必要な電力は十分賄えます。そのなかでの「再稼動を含む原発の利用政策の継続」は、政治権力の維持を目的としたアベノミクスのさらなる成長のためのエネルギー戦略以外の何ものでもありません。日本経済を破綻の淵に陥れない止めにも、再稼動を含む原発電力の利用政策をいますぐの廃止する「原発ゼロ実現の道」が求められなければなりません。

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内容目次

第 1章; 安価な化石燃料(石炭)を用いる火力発電が使える限り、3.11福島の事故で停止した原発を再稼働する必要はありません。使用済み核燃料廃棄物処理・処分費用の負担を次世代送りする「原発の再稼働」は、化石燃料枯渇後の日本経済の生き残りの道を阻みます

 

第2章; 原発の開発・利用の当初からできていた、電力料金の値上で、国民に経済的な負担を強いて原子力産業を政策支援する仕組みを使って、3.11で稼動を停止した「原発の再稼働」を進めています。いま、日本経済にとって大事なことは、「原発の再稼働」による経済成長エネルギーの獲得ではありません。化石燃料資源の枯渇後、国産の再エ電力に依存する社会での人類の生き残りの具体策を世界に向って訴えることでなければなりません

 

第3章; 化石燃料枯渇後の未来に生き残るためのエネルギー基本計画は、自然エネルギー(再エネ)電力の利用・拡大を前提としない「原発ゼロ」の実現でなければなりません。そのためには、経済のさらなる成長を訴えるアベノミクスによる「原発の再稼働」が、先ず、廃止されなければなりません

 

第4章; 化石燃料資源の枯渇後、その代替としての自然エネルギー(自国産の再生可能エネルギー)のみで日本経済が生き延びるには、地球温暖化対策としての再エネ電力のいますぐの導入・利用を促進するための「再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT制度)」の適用無しで利用できる「導入可能量」の大きい風力発電が主体となるべきです

 

第5章; 安全性を論点とした裁判に勝訴して原発再稼働を止めることはできません。いま、原発無しでも電力に不自由していないなかで、原発を持たないことが、絶対安全の条件になるとの科学の常識を裁判長に知っていただければ、裁判に勝利して、原発の再稼働

を止めることができるはずです                                                       

 

第6章; 混迷する福島低汚染水問題; “薄めて海に流す”との安易な考えを捨て、”脱原発を前提とした、低汚染水の処分方法の根本的な見直しが求められるべきです

 

第7章; 日立の英国原発建設計画の中断で、日本の原発政策は八方ふさがりになりました。日本の、そして世界の原子力エネルギー政策には未来がないことを厳しく訴えさせて頂きます

   

おわりに: 原発ゼロ実現の道、それは、日本のエネルギー政策が、現状の混迷から抜け化石燃料資源枯渇後の世界に、日本経済が生き残る道を創ります

 

ABOUT  THE  AUTHER

久保田 宏(くぼた ひろし)
1928年生まれ、北海道出身。1950年、北海道大学工学部応用化学科卒業、工学博士、
東京工業大学資源化学研究所 教授、同研究所資源循環研究施設長を経て、1988年退官、
東京工業大学 名誉教授、専門は化学工学、化学環境工学。日本水環境学会 会長を経て名誉会員。JICA専門家などとして、海外技術協力事業に従事。中国同済大学、ハルビン工業大学 顧問教授他、日中科学技術交流により中国友誼奨賞授与。

著書に『解説反応操作設計』『反応工学概論』『選択のエネルギー』『幻想のバイオ燃料』
『幻想のバイオマスエネルギー』『原発に依存しないエネルギー政策を創る』(以上、日刊工業新聞社)、『重合反応工学演習』『廃棄物工学』(培風館)、『ルブランの末裔』(東海大出版会)、『脱化石燃料社会』(化学工業日報社)、『林業の創生と震災からの復興』(日本林業調査会)、『改訂・増補版 化石燃料の枯渇がもたらす経済成長の終焉—科学技術の視点から、日本経済の生き残りのための正しいエネルギー政策を提言する、電子出版 Amazon Kindle版 2017年2月』、『シェール革命は幻想に終わり現代文明社会を支えてきた化石燃料は枯渇の時を迎えます-科学技術の視点から、日本経済の生き残りのための正しいエネルギー政策を提言する―、電子出版 Amazon Kindle版 2019年10月』、『温暖化物語が終焉しますいや終わらせなければなりません-化石燃料の枯渇後に、日本が、そして人類が、平和な世界に生き残る道を探ります-電子出版 Amazon Kindle版 2019年11月 』他。

E-mail:biokubota@nifty.com

 

平田 賢太郎(ひらた けんたろう)
1949年生まれ、群馬県出身。東京工業大学大学院理工学研究科化学工学専攻修士課程修了。三菱油化株式会社入社、化学反応装置・蒸留塔はじめ単位操作の解析、省資源・省エネルギー解析、プロセス災害防止対応に従事し2011年、三菱化学株式会社退職。2003年 技術士(化学部門-化学装置及び設備)登録。現在、Process Integration Ltd. 日本事務所および平田技術士・労働安全コンサルタント事務所代表。公益社団法人日本技術士会 中部本部 本部長。著書に、『化学工学の進歩36”環境調和型エネルギーシステム3.3 石油化学産業におけるシナリオ”』(槇書店)、『改訂・増補版 化石燃料の枯渇がもたらす経済成長の終焉—科学技術の視点から、日本経済の生き残りのための正しいエネルギー政策を提言する、電子出版 Amazon Kindle版 2017年2月』、『シェール革命は幻想に終わり現代文明社会を支えてきた化石燃料は枯渇の時を迎えます-科学技術の視点から、日本経済の生き残りのための正しいエネルギー政策を提言する―、電子出版 Amazon Kindle版 2019年10月』、『温暖化物語が終焉しますいや終わらせなければなりません-化石燃料の枯渇後に、日本が、そして人類が、平和な世界に生き残る道を探ります-電子出版 Amazon Kindle版 2019年11月 』他。

E-mail: kentaro.hirata@processint.com

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