「新型コロナウイルス問題」を権力維持の道具に使っている安倍政権によって、日本の民主主義が崩壊しようとしています。「火事場泥棒」とされる「検察庁改正法案」の国会での強硬採決が安倍政権の命取りになることを願って、敢えて発言させて頂きます

東京工業大学名誉教授  久保田 宏
日本技術士会中部本部 本部長 平田 賢太郎

(要約);

⓵ 安倍晋三首相は、にわかに発生した「新型コロナウイルス問題(以下「コロナ問題」と略記)」を政権維持の危機を乗り越えるために利用しようとしています

⓶ この「コロナ問題」に国民が気をそらされているのを好機として、検察庁人事を権力の思うままにすることを図っているのが、安倍政権による「検察庁改正法案」の強行採決の目論見です

⓷ この「検察庁法改正法案」の国会での強行採決は、世界平和を願う日本国民が、戦後、営々と築いてきた民主政治のルールが根本的に破壊するものです。安倍首相による憲法改正の野望を打ち砕くことが、民主国家日本が、化石燃料枯渇後の経済成長が抑制される世界に、生き延びる道です

⓸(補遺);2020/5/18のTVが、自民党が「検察庁法改正法案」の今国会での成立を断念したと報道しました

 

(解説本文);

⓵ 安倍晋三首相は、にわかに発生した「新型コロナウイルス問題(以下「コロナ問題」と略記)」を政権維持の危機を乗り越えるために利用しようとしています

今回の「新型コロナウイルス問題(以下、「コロナ問題」と略記)」が起こる前の安倍政権は、森友学園や加計学園の問題に加えて、桜を見る会の問題で明らかになった安倍晋三首相による非民主的な専制政治を批判する多くの国民による倒閣運動によって、危機的な状態にあったと言ってよいでしょう。この状況のなかで突然起こった今回の「コロナ問題」は、安倍首相にとって、この政権維持の危機を救ってくれる絶好の機会だと映ったのではないでしょうか? すなわち、いま、よく、日本政府による「コロナ問題」への初期対応の遅れが言われていますが、必ずしもそれは当たっていないのではないでしょうか? むしろ、安倍首相はよくやっているとして、支持率を多少は回復させる材料につながっているのではないでしょうか? もう一つ、これは、あくまでも私どもの推察ですが、この「コロナ問題」で、安倍首相にとってと言うより日本にとっての幸運があったと言えるのは、日本におけるコロナウイルスの感染源が、クルーズ船の中国人(香港国籍)客であったために、当初の感染の拡大がこの船内に限定されていたことが考えられます。すなわち、これは、たまたまのことですが、国内への中国人観光客のなかの感染者の比率が余り多くなかったのではないでしょうか?これに対して、イタリアに代表される欧米での「コロナ問題」は、この問題を遠く離れたアジアの問題として、感染に無防備ななかで、コロナウイルスの発生源の中国武漢市がロックダウン(都市封鎖)される前に発生した感染者が、無防備な欧米に流入し、そこでの感染者の爆発的な増加(パンデミック)を起こしたではないでしょうか?

一方、日本では、欧米から逆流入した感染者により、欧米に遅れて感染者の急増が起こりました。慌てた政府は、緊急事態宣言を行って、感染の主原因となっている人と人が接触する3密(密閉、密集、密接)を避けるために、国民に「外出自粛の要請」を行いました。当初は大都市中心に、その効果が表れないとして、後には、この緊急事態宣言を、国土全体に適用するとともに、当初、医療設備の限界から、コロナウイルス感染の有無を判定するPCR検査の数を絞っていたのを、その数を増やしました。その結果、このPCR検査数の増加に比例した感染者数が増加しましたが、やがて、3 密回避の「外出自粛要請」の効果が表れて、他国で行われた法的な強制力を持ったロックダウン(都市封鎖)を行わないでも、感染者数の減少に成功しました。

この「コロナ問題」を政権維持に利用しようとたくらむ安倍首相は、5月14日に、感染者数の減少が政府が決めた基準に達していない特定警戒地域に指定されている東京・大阪などの大都市と北海道の8都道府県を除く39県での緊急事態宣言の解除を決めました。安倍首相は、いま、この成果を国民の3密回避のための政府の「外出自粛要請」に応えた国民の努力の結果だとしながらも、今回の「緊急事態解除」で、パンデミックを招くことがないようにと国民に訴えています。

 

⓶ この「コロナ問題」に国民が気をそらされているのを好機として、検察庁人事を権力の思うままにすることを図っているのが、安倍政権による「検察庁改正法案」の強行採決の目論見です

朝日新聞(2020/5/12)の社説は、この「検察庁法改正案」を、“国民を愚弄する暴挙だ”としています。この社説では、いま、「コロナ問題」に忙殺されているはずの安倍政権により提出された、この「検察庁法改正案」について、“検察官は行政府の一員ではあるが特有の権限と責務をもつ。捜査や裁判を通じて司法に深く関わり,ときにその行方が政権の浮沈を左右することもある。政治権力からの独立性が強く求められるゆえんだ。だからこそ、戦後制定された現行検察庁法は、ふつうの国家公務員法とは異なる独自の定年制を設け、裁判官に準じて身分や報酬を保証した。歴代内閣はその趣旨を踏まえ、幹部人事についても、謙抑的に振舞ってきた。・・・コロナ渦で、人々は検察庁法どころではないし、最後はいつも通り数の力で押し切ればいい。政権がそう思っているとしたら国民を愚弄すること甚だしい。”と記していました。

まさに、森友、加計、桜を見る会で、安倍首相にとって都合のわるい司法的判断を避けてもらうために、検察庁幹部の人事を、安倍首相の思うままにしようとするのが、今回の「検察法改正案」の制定の目的なのです。同様の批判が、いままで政治に関わってこなかった芸能人などの間にも、SNSを通しての署名活動などとして広まっています。これらの国民の多数の批判に対して安倍首相は、「内閣が恣意的に人事をすると言う懸念は当たらない」と国会での同法案の審議の場で応えています。であれば、この朝日新聞の社説にもあるように、“長年の法解釈を覆して、東京高検検事長の定年を延長したのは、当の安倍内閣ではないか。法案は、この脱法行為を事後的な行為を事後的に正当化するするものに他ならない。” ことになります。

また、この法案に対しては、田中角栄元首相が逮捕されたロッキード事件の捜査に関わられた元検事総長の松尾邦弘氏らが公の場で「反対」を表明されておられます。法務省が国会に提出した法案に対して、検察のOBが反対の行動を起こすのは、極めて異例なこととされています。このような国民の多数が反対する法案を、いま、「コロナ問題」での政府の対応が大変な問題になっているなかで、急いで、国会で強行採決しなければならない理由についての安倍首相の説明は一切ありません。

さらに、この朝日新聞の社説では、“加えて政権は、検察庁法を所管する森雅子法相を法案審議の場に出席させない暴挙に出た。” と批判していましたが、野党の強い要請により。ようやく、この法案を審議する衆院内閣委員会に出席した森法相の答弁は、私どももTVのニュース番組で聞きましたが、全くひどいものでした。この問題を再び社説に取り上げた朝日新聞(2020/5/16)にあるように、”用意したペーパーをただ読み上げるだけで、約束した「真摯な説明」にはほど遠いものだった。“ でした。朝日新聞のこの再度の社説では、”いったい何のために、そしてどんな場合を想定して、法律を変えようとしているのか、市民が抱く当然の疑問に政府は全く応えようとしない。いや、応えられない。こんな法案はただちに撤回すべきだ。“ と断じています。

 

⓷ この「検察庁法改正法案」の国会での強行採決は、世界平和を願う日本国民が、戦後、営々と築いてきた民主政治のルールが根本的に破壊するものです。安倍首相による憲法改正の野望を打ち砕くことが、民主国家日本が、化石燃料枯渇後の経済成長が抑制される世界に、生き延びる道です

いま、日本の経済が「コロナ問題」で大きな苦難を迎えているなかで、安倍首相が、何としても、「コロナ問題」とは無関係な、この「検察法改正法案」を、国会で強行採決しようとする、その目的は何なのでしょうか? 明治維新後、最長の総理大臣としての政治権力のトップの座を維持してきた安倍首相の自民党総裁の任期も、あと1年少しになりました。 しかし、首相就任以来の念願である憲法改正の目途は立っていません。とは言え、この安倍一強政権は、やろうと思えば、何でもできるのだということを国民に思いしらせようとするのが、この「検察庁法改正法案」の国会での強行採決です。それは、国会での採決と言う民主主義の衣を被っての専制政治の復活です。

朝日新聞(2020/05/4)は、安倍首相が憲法記念日の5月3日に、改憲派のオンライン会合にメッセージを寄せ、「コロナ問題」で、緊急事態宣言を行うためには、憲法改正の論議を前進させる必要があると訴えたことを報道しています。安倍首相の主張は、「コロナ問題」の収束のための医療業務等に自衛隊員が当たっている以上は、憲法9条のなかに自衛隊の存在を明記すべきだとするものです。しかし、少なくとも現状では、「コロナ問題」に関連した「緊急事態」で「外出規制」を行うために「憲法改正」を行う必要性は、政府与党内でも認められていないようです。すなわち、安倍首相にとって、いま、憲法改正の野望を実現する方法は、「検察法改正法案」の国会での強行採決以外にないのでしょう。これを、逆の日本の民主主義を守る立場から見ると、この「検察庁法改正法案」の撤回を実現することで、日本の平和憲法を守り抜くことが、すなわち、民主主義国家日本が、世界の全ての国の協力で達成できる「コロナ問題」の収束後の平和が期待できる世界に生き残る唯一の道だと私どもは考えます。

 

⓸(補遺);2020/5/18のTVが、自民党が「検察庁法改正法案」の今国会での成立を断念したと報道しました

さすがの安倍首相も、多数の国民の反対には抗しきれなくなったのでしょう。2020/5/18になって、自民党の意見を入れて、国民の圧倒的な多数が反対する「検察庁法改正案」の今国会での強行採決を断念したようです。しかし、これは、あくまでも、今国会での「検察庁法改正法案」の成立の見送りです。民主主義を崩壊するために、憲法改正を目論む安倍首相の野望を阻止するためには、非民主的なこの「法案」の廃棄とともに、その責任をとって、安倍首相に退陣して頂く以外にありません。

 

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久保田 宏(くぼた ひろし)
1928年生まれ、北海道出身。1950年、北海道大学工学部応用化学科卒業、工学博士、
東京工業大学資源化学研究所 教授、同研究所資源循環研究施設長を経て、1988年退官、
東京工業大学 名誉教授、専門は化学工学、化学環境工学。日本水環境学会 会長を経て名誉会員。JICA専門家などとして、海外技術協力事業に従事。中国同済大学、ハルビン工業大学 顧問教授他、日中科学技術交流により中国友誼奨賞授与。

著書に『解説反応操作設計』『反応工学概論』『選択のエネルギー』『幻想のバイオ燃料』
『幻想のバイオマスエネルギー』『原発に依存しないエネルギー政策を創る』(以上、日刊工業新聞社)、『重合反応工学演習』『廃棄物工学』(培風館)、『ルブランの末裔』(東海大出版会)、『脱化石燃料社会』(化学工業日報社)、『林業の創生と震災からの復興』(日本林業調査会)、『改訂・増補版 化石燃料の枯渇がもたらす経済成長の終焉—科学技術の視点から、日本経済の生き残りのための正しいエネルギー政策を提言する、電子出版 Amazon Kindle版 2017年2月』、『シェール革命は幻想に終わり現代文明社会を支えてきた化石燃料は枯渇の時を迎えます-科学技術の視点から、日本経済の生き残りのための正しいエネルギー政策を提言する―、電子出版 Amazon Kindle版 2019年10月』、『温暖化物語が終焉しますいや終わらせなければなりません-化石燃料の枯渇後に、日本が、そして人類が、平和な世界に生き残る道を探ります-電子出版 Amazon Kindle版 2019年11月 』他。

E-mail:biokubota@nifty.com

 

平田 賢太郎(ひらた けんたろう)
1949年生まれ、群馬県出身。東京工業大学大学院理工学研究科化学工学専攻修士課程修了。三菱油化株式会社入社、化学反応装置・蒸留塔はじめ単位操作の解析、省資源・省エネルギー解析、プロセス災害防止対応に従事し2011年、三菱化学株式会社退職。2003年 技術士(化学部門-化学装置及び設備)登録。現在、Process Integration Ltd. 日本事務所および平田技術士・労働安全コンサルタント事務所代表。公益社団法人日本技術士会 中部本部 本部長。著書に、『化学工学の進歩36”環境調和型エネルギーシステム3.3 石油化学産業におけるシナリオ”』(槇書店)、『改訂・増補版 化石燃料の枯渇がもたらす経済成長の終焉—科学技術の視点から、日本経済の生き残りのための正しいエネルギー政策を提言する、電子出版 Amazon Kindle版 2017年2月』、『シェール革命は幻想に終わり現代文明社会を支えてきた化石燃料は枯渇の時を迎えます-科学技術の視点から、日本経済の生き残りのための正しいエネルギー政策を提言する―、電子出版 Amazon Kindle版 2019年10月』、『温暖化物語が終焉しますいや終わらせなければなりません-化石燃料の枯渇後に、日本が、そして人類が、平和な世界に生き残る道を探ります-電子出版 Amazon Kindle版 2019年11月 』他。

E-mail: kentaro.hirata@processint.com

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