ポスト石油の「立体農業」に挑戦する友人の農業実践 ~私の秋田の友人からのたより~
|田村八洲夫 2016年10月
三浦様は、確か、長野での企業経営者ですが、親の介護のために秋田に戻り、農業志望する方、60歳前後でしょうか。農業の経験がないため法人格が得られず、気の合う仙波様が不憫に思ってサポートしています。
以下は仙波様からのメールの抜粋です。歳にも負けず、癌にも負けず、明日の日本に繋がる農業を探索、実践されている姿は感動的です。応援をよろしくお願いします。
私は現在、点滴による抗がん剤治療を三週間ごとに受けており、副作用もだいぶ軽減しています。元気なときには、スマートアグリの三浦さんと、妻の姉から借りた秋田大学医学部近くの畑で、トマト、枝豆、ジャガイモ、サツマイモなどを植えて、スーパーの地産地消コーナーで販売しています。利益にはなりませんが、農地獲得のための実績作りです。そのほか、自宅消費用の野菜もいろいろ植えています。山すそなので、マムシなども出ますが、山のものも収穫でき、田村さんの著作にある「立体農業」のミニバンを目指しています。
無料で借りた畑は、粘土質で砂利が多く大変でした。今年はテスト栽培と思ってがんばりました。手間がかからないし、鳥等の被害もないのは、枝豆でしたし、よく売れましたので、来年は面積を増やそうと三浦さんと話しています。サツマイモ、ジャガイモの根菜類も良いのですが、ねずみの被害がすこしありました。ねずみがいると毒蛇もいて、生態バランスでしょうか。
あとは、ねぎ、オクラ、なす、春菊、ほうれん草、きうり、ミョウガ、せり、ササギ、スイカ、イチゴ、ブルーべリー、柿、梅、栗等もあります。熊やカモシカよけに、畑の周りをポールとネット等で囲っています。
鳥対策に上にもネットも張っています。現在は、大根、葉物をビニールハウスに植えていて、まもなく玉ねぎを多く植えて来年売ろうと思っています。
いずれ、路地植えや水耕栽培ができて、売るのと自家消費ができればと思っています。無理はできませんので、ほかの人と連携していくことが大事だと考えています。
今年は、いろいろ試験栽培しながら、トマト、ジャガイモ、サツマイモ、枝豆などを、スーパーの地産地消コーナーで販売しました。これから、妻の実家で放置している柿を収穫して、干し柿にして販売する予定です。山すそには、栗、梅、たらの芽の木、ミョウガ、蕨などもあり、季節の旬を味わえます。
霜がおりるまで、大根、春菊、ほうれん草、キャベツ、白菜も収穫できると思います。
病気の副作用もありますが、なるべく体を動かして、いずれ機会があれば、三浦さんと水耕栽培も進めたいと思っています。
私は、田村さんの著書を参考にさせてもらって、畑仕事をしているだけです。これからも、よろしくお願いいたします。もったいない学会などについて、大変うれしいです。
一部に、来年に
収穫するタマネギの苗を植えました。今日は、妻の実家の畑にある柿を、三浦さんと数百個ほど収穫しました。干柿等にします。売ることができればよいですが(10月28日)。
■仙波立体農園試験場(略図) 仙波氏提供
■仙波立体農園の写真 仙波氏提供
小学生のころに訪れた私の父親の実家(新潟県上越市)でも田畑以外に、林野放牧し、ヤギの乳を初めていただいた覚えがあります。農業政策の変更と地方の過疎化のため、立体農業はすっかり廃れてしまいました。
しかし、仙波様のように「立体農業」を印象深く受け止め、農業する機会に、挑戦していただいてる心と姿に、とても感動します。仙波様は、気の合った人を仲間に誘って、「仙波立体農業」を拡充させてくれるものと思っています。気の合った人とは、「イモ、ネズミ、毒ヘビ」を生態連鎖の枠組みで、親しく捉えることのできる者のことかもしれません。
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ポスト石油時代の日本にとって、立体農業の復活は非常に重要だと考えます。第一に、立体農業に関心をもち、実践する者を、広く増やすこと。第二に、ファンドなどで事業的支援体制を作ること、だと思います。もったいない学会としての実践的課題として検討して良いのではと思いますが、いかがでしょうか。
(田村記:2016年11月6日)
田村さん、この稿、とても分かり易いです。立体農業の解説も。いつもと違います、長文が長々と段落なしに続かない、見出し、図、写真などの配列も素晴らしい、やれば出来るのですね田村さん!?