「新型コロナウイルス問題(以下、「コロナ問題」と略記)」に対する政府の対応が日本経済を破綻の淵に追い込もうとしています。国民の全てに「PCR検査」を実施して、「コロナ問題」の完全収束を速めることが、日本経済を崩壊の淵から救う唯一の道です

東京工業大学名誉教授  久保田 宏
日本技術士会中部本部 本部長 平田 賢太郎

(要約);

⓵ 安倍政権は、コロナ対策として巨額の財政赤字を積み増して、日本経済を崩壊の危機に陥れようとしています

⓶ コロナ対策で、安倍政権が目論むような財政支出の大部分は不要と考えるべきです。「コロナ問題」の収束をはかるための財政支出の削減こそが求められなければなりません

⓷ いままで、日本経済にとって怖いのは、アベノミクスのさらなる成長のための財政赤字(国の借金)の積み増しでした。それに、この「コロナ問題」が加わって、とんでもない額になろうとしているのです。いま、国民は、この財政赤字の恐怖をもっと厳しく認識するべきです

 

(解説本文);

⓵ 安倍政権は、コロナ対策として巨額の財政赤字を積み増して、日本経済を崩壊の危機に陥れようとしています

朝日新聞(2020/6/2)が、

コロナ対策 巨額のツケ 国の財政悪化 収束後に重い課題

の表題で、「新型コロナウイルスの対策で、国の財政状況が急速に悪化している。今年度の予算額は過去最大の160兆円超に達する見通しで、そのうちの半分以上を借金で賄う状態だ。当面は危機対応を優先せざるを得ないが、将来に回した巨額の「ツケ」をどう返すのか。収束後には重い宿題が残されている。」 とこの記事の内容を要約しています。

いま、日本政府(安倍政権)が行おうとしている「新型コロナウイルス対策」関連の具体的な数値の概要を、この新聞記事から転記させて頂くと、政府はすでに2度の今年度補正予算を編成していますが、全国民への「10万円の一律給付」などを盛り込んだ1次補正の総額が25.7兆円、「新型コロナウイルス問題(以下、「コロナ問題」と略記)」で休業を強いられる経営者に対する家賃補助などが入った補正の総額は31.9兆円、合計57.6兆円が赤字国債の発行で賄われることになっています。このコロナ対策の国債の発行額に、当初予算の発行額を加えると90.2兆円にもなると見積もられる巨額の借金を国が抱え込むことになるのです。また、コロナ問題による国内景気の後退で、税収の大幅な落ち込みも予想されることから、今年度の一般会計の「基礎的財政収支(プライマリーバランス)」が当初予算の段階の9.2兆円の赤字から66.1兆円の赤字に膨れ上がるのです。この「コロナ問題」の発生以前に、麻生財務大臣は、「プライマリーバランス」を2025年度までには黒字に転換すると言っていましたが、このように、「コロナ問題」で、財政赤字が巨額に膨れ上がれば、この黒字転換の目途は全く立たないことになります。

さらに、この朝日新聞(2020/6/2)は、日本の財政状況が、コロナ以前から、世界最悪の水準だったことも指摘しています。すなわち、このような国債の大量発行で、2020年度末の国債の発行残高は964兆円になり、1千兆円に迫る規模です。このままでは、国債の国際的価値が暴落してもよいのですが、日銀が国債を市場で大量に買うことで、国債の金利が低く抑えられているので、すぐに国際が暴落するなどの財政危機が起きないとの専門家の見方を伝えています。しかし、いつかは借金を返せるようにする必要があり、将来、増税や歳出削減といった痛みを伴う改革も不可欠になりそうだとしています。

 

⓶ コロナ対策で、安倍政権が目論むような財政支出の大部分は不要と考えるべきです。「コロナ問題」の収束をはかるための財政支出の削減こそが求められなければなりません

コロナ対策で巨額の財政支出が強いられる理由としては、上記(⓵)の朝日新聞(2020/6/2)の記事に、

当面は危機対応を優先せざるを得ないが

とあるように、メデイアを含めて多くの人が、コロナ対策として、急いで財政支出を行う必要があると思わされているためと私どもは考えます。例えば、1次補正で取り上げられて、すでに実施されている国民の全てへの「一律10万円給付」対策は、コロナ対策としての「外出自粛」への協力の報奨金とされていますが、このようなお金を払わなければ、この「外出自粛」に国民の協力が得られなかったのでしょうか?「外出自粛」への国民の協力で、「コロナ問題」が無事収束してから、その報奨金として支給しても遅くなかったはずなのに、人口1.27億人に10万円を乗じた、12兆円を超える無駄なお金が、安倍首相のリーダーシップのもとで予算に組まれたのです。

一方で、この「一律10万円」の代替として廃止されたはずの「コロナ問題」により休廃業を余儀なくされた飲食店などの経営者や従業者に対する「休・失業補償金」こそが緊急に支給されなければならなかったはずですし、そのための財政支出は4兆円程度と見積もられていました。なお、この休失業補償金は他の名目で、支出されるようですから、結局は、何の必要もない「一律10万円給付」のための12兆円が赤字国債による国の借金として積み上げられたのです。不思議なことには、この「一律10万円給付」については、私どもの下記シフトムコラム(2020/4/25)

久保田 宏、平田賢太郎;人類生存の危機をもたらす「新型コロナウイルス問題」の一刻も早い収束を目的として行われた安倍首相による「休・失業の補償支援」から全国民に対する「一律10万円支給」への政策変更は、政権維持のための景気回復を目的とする許しがたい蛮行です 

での主張以外に、野党をはじめ、国内メデイアによる批判が一切ありません。

また、1次補正予算から漏れていた必要経費として、1次補正を上回る金額が、2次補正として支出されようとしています。そのなかにも、例えば、「コロナ問題」で深刻な打撃を受けた観光事業の再生のために観光客を呼び戻すための費用が予算に組み込まれています。さらには、「コロナ問題」の収束のために予測できない対策を実施しなければならないとして、10兆円の予備費が、国会での何の審議もなく計上されようとしていました。さすがに、これらについては、たまりかねた野党による大きな反発を受けて、国会の会期末までに、部分的な訂正が行われようとしています。

結局、これらの安倍政権によるコロナ対策の財政支出は、安倍首相の一強政権を維持する景気回復のためのお金のばらまき以外の何ものでもないのです。したがって、これらの「コロナ問題」の収束に貢献しない費用項目を除外すれは、コロナ対策費用は、大幅に削減できることになります。

ところで、この「コロナ問題」の収束後の日本経済の再生のために必要な予算額を除いた、コロナ対策に必要なお金の主体は、現在、収束の目途が立っていない「コロナ問題」の第2波を収束させるために必要なお金とされています。しかし、考えて見て下さい。 この第2波、第3波を含めた「コロナ問題」が何時収束するのか現状では予測がつかないのです。すなわち、その収束までに使われる財政支出の額も正確に予測することができないままに、コロナ対策費として、上記(⓵)したように、日本経済を崩壊しかねない巨額の財政支出額が今年度の補正予算として組まれようとしているのです。したがって、もし、今年度中の早い時期に「コロナ問題」を完全に収束することができたとすれば、コロナ対策費が大幅に削減できることになります。一方で、それが実現できなければ、今年度だけでなく、来年度も今年度と同じような多額の財政支出が行われなければなりません。

したがって、いま政治に要請されていることは、いま起こっているとされるこの第2波を鎮圧して、「コロナ問題」の速やかな完全収束を図ることでなければなりません。それが実施できれば、上記(⓵)したような現状のコロナ対策費の大幅な節減が可能になるのです。この「コロナ問題」の完全収束のためには、ワクチンや予防薬の開発が必要だとされていますが、それには、時間がかかります。これに対して私どもは、「コロナ問題」の完全収束のための「PCR検査」の拡大を主張しています。この私どもの主張には、非現実的だとする批判がありますが、プロ野球やJリーグの選手の全員に、この「PCR検査」を実施することで、リーグ戦の開催が可能となったのです。また、東京アラートの発令後、小池都知事が、夜の飲食業の従業員に、休業解除の条件として、「PCR検査」を義務付けることを考えておられるようです。

なお、この「PCR検査」の費用を問題にされる方もおられますが、この「PCR検査」を日本の全国民に実施した場合、その費用を1件当たり1.35万円として、これに日本の人口の1.27億人を乗じた僅か1.7兆円程度で済むのです。すなわち、「コロナ問題」の完全収束のための費用を最も安く抑えることができるのです。さらに、いま、大きな問題になっている貧困な途上国での「コロナ問題」の収束を図るには、この方法しかないと考えます。

 

⓷ いままで、日本経済にとって怖いのは、アベノミクスのさらなる成長のための財政赤字(国の借金)の積み増しでした。それに、この「コロナ問題」が加わって、とんでもない額になろうとしているのです。いま、国民は、この財政赤字の恐怖をもっと厳しく認識するべきです

上記(⓵)したように、今回の「コロナ問題」を大幅な赤字国債の積み増しによって解決しようとすれば、日本経済には、日本人が第2次大戦の敗戦時に経験したと同じようなハイパーインフレーションが起こる大きなリスクがあります。ただし、この時の日本経済の崩壊を救ってくれたのは、たまたま起こった朝鮮戦争による特需景気と、それを支えてくれた経済の高度成長のためのエネルギー源としての安価の中東石油の存在でした。しかし、今回の「コロナ問題」を含む、かつてない財政赤字(国の借金)には、これを返却できる方策が全く見当たらないのです。

これは、あくまでも、私どもの推測ですが、この財政赤字に伴い発生すると予想されるハイパーインフレーションにより大きな被害を受けるのは、老後に備えて営々と貯蓄をしてきた年金生活者ではないでしょうか?折角の貯金の価値が何分の一かになることで、国家財政赤字が解消されることに対して、年金生活者は、何も言えないのです。

本稿の最後に、この国家財政の赤字の積み増しによる恐怖を、「コロナ問題」が発生する以前から主張していた、私どもが尊敬する名著「タックス・イーター ―消えて行く税金、岩波新書、2014年」の著者の故志賀桜氏の著書の「おわりに」の文章の一部を下記に引用させて頂きます。

“ ・・・たしかに、世界の歴史を顧みると、経済の苦境を脱するため、あるいは、国内の様々な矛盾を解決するため、為政者はしばしば戦争と言う手段を選んできた。いやな話ではあるが、それが現在も共有されている常識であるという事実を知っておかねばならない。・・・・しかし、先般の大戦で国内外に多大な犠牲をもたらした日本にとっては無論、そのような選択肢はあってはならない。・・・・戦争に代わる別の手段を考えておく必要がでてくる。その一つとして挙がる候補は、ハイパーインフレーションである。ハイパーインフレーションは、庶民から購買力を強制的に奪うので、形を変えた税であるとされている。しかも、誰にどのような負担が行くかは明確でないため、税としては甚だ始末に負えない類の税である。・・・・ ”

いま、世界に誇るべき日本国平和憲法を改訂して、日本を戦争ができる普通の国にする目的で、自己の政治権力を強化するために、「コロナ問題」を利用して、日本経済の崩壊を招くような赤字国債を平然として積み増している安倍晋三首相に、一刻も早く政権の座から退いて貰う以外に日本経済の危機を救う道はないことを改めて訴えさせて頂きます。

 

ABOUT  THE  AUTHOR

久保田 宏(くぼた ひろし)
1928年生まれ、北海道出身。1950年、北海道大学工学部応用化学科卒業、工学博士、
東京工業大学資源化学研究所 教授、同研究所資源循環研究施設長を経て、1988年退官、
東京工業大学 名誉教授、専門は化学工学、化学環境工学。日本水環境学会 会長を経て名誉会員。JICA専門家などとして、海外技術協力事業に従事。中国同済大学、ハルビン工業大学 顧問教授他、日中科学技術交流により中国友誼奨賞授与。

著書に『解説反応操作設計』『反応工学概論』『選択のエネルギー』『幻想のバイオ燃料』
『幻想のバイオマスエネルギー』『原発に依存しないエネルギー政策を創る』(以上、日刊工業新聞社)、『重合反応工学演習』『廃棄物工学』(培風館)、『ルブランの末裔』(東海大出版会)、『脱化石燃料社会』(化学工業日報社)、『林業の創生と震災からの復興』(日本林業調査会)、『改訂・増補版 化石燃料の枯渇がもたらす経済成長の終焉—科学技術の視点から、日本経済の生き残りのための正しいエネルギー政策を提言する、電子出版 Amazon Kindle版 2017年2月』、『シェール革命は幻想に終わり現代文明社会を支えてきた化石燃料は枯渇の時を迎えます-科学技術の視点から、日本経済の生き残りのための正しいエネルギー政策を提言する―、電子出版 Amazon Kindle版 2019年10月』、『温暖化物語が終焉しますいや終わらせなければなりません-化石燃料の枯渇後に、日本が、そして人類が、平和な世界に生き残る道を探ります-電子出版 Amazon Kindle版 2019年11月 』他。

E-mail:biokubota@nifty.com

 

平田 賢太郎(ひらた けんたろう)
1949年生まれ、群馬県出身。東京工業大学大学院理工学研究科化学工学専攻修士課程修了。三菱油化株式会社入社、化学反応装置・蒸留塔はじめ単位操作の解析、省資源・省エネルギー解析、プロセス災害防止対応に従事し2011年、三菱化学株式会社退職。2003年 技術士(化学部門-化学装置及び設備)登録。現在、Process Integration Ltd. 日本事務所および平田技術士・労働安全コンサルタント事務所代表。公益社団法人日本技術士会 中部本部 本部長。著書に、『化学工学の進歩36”環境調和型エネルギーシステム3.3 石油化学産業におけるシナリオ”』(槇書店)、『改訂・増補版 化石燃料の枯渇がもたらす経済成長の終焉—科学技術の視点から、日本経済の生き残りのための正しいエネルギー政策を提言する、電子出版 Amazon Kindle版 2017年2月』、『シェール革命は幻想に終わり現代文明社会を支えてきた化石燃料は枯渇の時を迎えます-科学技術の視点から、日本経済の生き残りのための正しいエネルギー政策を提言する―、電子出版 Amazon Kindle版 2019年10月』、『温暖化物語が終焉しますいや終わらせなければなりません-化石燃料の枯渇後に、日本が、そして人類が、平和な世界に生き残る道を探ります-電子出版 Amazon Kindle版 2019年11月 』他。

E-mail: kentaro.hirata@processint.com

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