石油、原発に頼らない低エネルギー社会に向けて

2011年3月11日午後発生した東日本地震は、津波を伴い、被害の規模が日に日に膨らみ、私どもの憂慮は深まる一方だ。不幸にして惨禍に巻き込まれた方々へ深い哀悼の意を表す。また災害の復旧活動に務められている方々に心から敬意を表す。

福島第1原発は、津波により、原子炉を冷却するシステムが全て故障し、放射能漏れとなる大事故が起きた。この大事故に立ち向かい、
献身的に修復作業に努めておられる関係者の方々に心から敬意を表す。

現場での努力が実を結び、原子炉の冷却が継続的に行うことができつつある。松浦祥次郎元原子力安全委員会委員長によれば、このまま冷却が継続すれば、放射性物質は時間減衰により、初めは急速に、やがてゆっくりと減少し、ガス状の放射性物質の放出は避けられないが、その他の放射性物質の放出は限定的で、その拡散は広くなく、沈静化する、とのことである。

しかし、福島第1原発の6基全部が廃炉になることはまず間違いない、と報じられている。

今回の東日本地震により、
福島第1原発で稼動していた3基、女川原発の3基、福島第2原発の4基の計10基、電力容量にすると858万kWの発電が停止した。また同時に、発電容量にして700万kW以上を供給していた火力発電も停止した。これにより東北、関東地方の電力容量不足が発生した。

この電力供給不足から、3月23日現在、関東地方を中心に、電力需要の高い時間帯に合わせた計画停電が実施されている。停止した原発の復旧には年単位の時間がかかる。また火力発電が全て再開されるにも相当な時間を要するであろう。当分電力容量不足が続くことになる。

火力発電の燃料は石油や石炭の化石資源であり、石油はすでに生産ピークを迎えているのである。つまり、地震によって電力供給量が減少したが、原発普及の目処が立たず、石油火力も長期的には期待できないので、今後電力容量が増え、元の状態に戻ることは期待しないほうが良い。

ここで明らかなことは、今後の我々の課題は「石油、原発に頼らない低エネルギー社会を作ること」、である。

罹災された方々には、心からお見舞い申し上げる。残された我々は、これから震災を受けた「まち」の復興に向けて進むことになる。

しかし、従来のまち作りではいけない。なぜなら、従来のまちは、エネルギーが十分にあることを前提しているからである。原発も石油も今までよりかなり少なくなるので、限られたエネルギー、低エネルギーで賄える「まち」でなければならない。

中央からアイデアを発信する政府は、従来型のまちへの復興を目指すであろう。しかし低エネルギー社会に向けたアイデアは、その土地特有のエネルギー源、産業、産物、人材が基盤となるので、地元に根ざしたものでなければならない。低エネルギー社会を推進するステークホルダーは、地元で活躍する中小企業と自治体であるはずだ。

中央からの支援を活用しつつ、その土地の特徴を生かした低エネルギー社会を築くことにより、それぞれの地域で経済活動が活発となり、災害に強く、エネルギー輸入の不安定性にも強い日本が生まれることになる。

Add a Comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です