トランプ氏を米大統領職から追いやった世界の新型コロナウイルス問題収束への道は、私どもが提言する「PCR検査の徹底」によってのみ実行可能となります

東京工業大学名誉教授  久保田 宏
日本技術士会中部本部 本部長 平田 賢太郎

(要約);

⓵ アメリカ大統領選挙を左右したと言われる新型コロナウイルス問題の収束が、選挙で勝利を確実にしたバイデン次期大統領にとっての重要な政策課題になっています

⓶ コロナ問題の最も確実で安価な収束の方法として、私どもは、世界でも広く適用できる「PCR検査の徹底」を提言させて頂きます

⓷ 感染者数や死者数が少ない日本においても、感染者数の増加が止まらないなかで、コロナ問題で落ち込んだ経済を再建するためにも、できるだけだけ速やかなコロナ問題の収束が求められています

 

(解説本文);

⓵ アメリカ大統領選挙を左右したと言われる新型コロナウイルス問題の収束が、選挙で勝利を確実にしたバイデン次期大統領にとっての重要な政策課題になっています

朝日新聞(2020/11/10)の国際面に、

世界の感染5000万人超 米最多、増加ベース早まる

とありました。

アメリカ大統領選挙の結果を左右したとも言われる米国の新型コロナウイルス問題(以下、コロナ問題と略記)ですが、自分がコロナウイルスなんか怖くないとして、マスクを着用しないで感染しながら、有効な感染防止対策を行わないで、経済成長を優先させて、アメリカを以前の経済大国に戻すとして、大統領選挙の票を集めたトランプ氏が、健闘及ばず敗北しました。これに対して、コロナ問題をできるだけ速やかに収束させる民主国家の維持を訴えて勝利したのが民主党のバイデン氏でした。

ジョンス・ホプキンス大学の調査結果を示す表1 に見られるように、いま、米国は、この新型コロナウイルスへの現在の感染者の数で、世界第一です。また、この現在の感染者数を人口で割った人口当たりの感染者数でも3.07 %と世界全体の0.672 %の5倍近い値を示します。この値は、このコロナ問題発祥の地の中国の人口当たりの感染者数 0.00662 %や日本の 0.0855 % に較べて。大幅に大きな値です。また、人口当たりの死者数(累積値)でも、ブラジルの0.0781 % に次ぐ0.0731 % で。世界平均の0.01676 % に較べても、特に、日本の0.001437 %や中国の0.000342 %に較べても大きな違いがあります。

 

表 1 世界の新型コロナウイルス感染者数および死者数とそれぞれの人口当たりの比率

(朝日新聞(2020/11/10)に記載のジョンス・ホプキンス大による集計(2020.11.9の値)を用いて計算しました)

また、米国における、このコロナウイルス感染者と死者数は、貧困層に多いとされているようなので、民主主義の維持を掲げて大統領選に勝利したバイデン氏にとっては、このコロナ問題を無視してきたトランプ大統領との違いを数値の上で明らかにするためにも、このコロナ問題を迅速に収束することが強く求められています。

 

 ⓶ コロナ問題の最も確実で安価な収束の方法として、私どもは、世界でも広く適用できる「PCR検査の徹底」を提言させて頂きます

 上記(⓵)の朝日新聞(2020/11/10)の記事にも見られるように、いま、感染者数が最多の米国をはじめとして、世界のコロナ問題における感染者数は、急速な増加を継続しています。かつて、西欧諸国は、中国から流入したコロナ問題の第一波の感染を収束させるために、コロナウイルスへの感染の有無を調べる「PCR検査」を全ての国民に近い数で徹底して行って、発見された感染者を隔離して治療を行うとともに、感染防止のために、人と人の接触を避けるためのロックダウン(都市封鎖)方式によって、感染者数の削減に成功しました。

しかし、この西欧諸国においても、その後、このような強制的な都市封鎖方式による人的交流の回避を継続すれば、国民の経済活動が阻害されるとして、感染者数の増加がゼロに達しないなかで、人的交流を伴う経済活動を大幅に復活させました。その結果として起こったコロナウイルス感染の第二波で、フランスなどでは、再度の都市封鎖などが行われています。この最近のコロナ感染の急速な増加には、北半球における大気温度の低下も原因とされ、世界におけるコロナ問題の収束が、一層難しくなっています。

このコロナ問題の収束のための最も確実な方法としては、ワクチンの開発・利用がありますが、このワクチン利用での安全性の確認に時間がかかるので、いますぐの利用に間に合はないだけでなく、どれだけのお金がかかるかの推定も困難です。これに対して、いますぐのコロナ感染の収束に有効だと考えられるのが、上記の「PCR検査の徹底」の方法です。

実は、この方法が、コロナ問題の収束の方法として、最も安価な方法なのです。日本における最近の民間のPCR検査の費用は 1万円程度まで下がっていますから、一人3回の検査を、全額、国が負担するとしても、一人当たり3万円に日本の人口1.27億を乗じた3.8 兆円で済みます。これに対して、先のコロナ問題の第一波で緊急事態宣言が発令され、3密の回避のためのご苦労賃として、全ての国民に一人当たり10万円が給付されました。この10万円に日本の人口を乗じた値は12.7兆円程度になり、上記の「PCR検査の徹底」に要する金額の3 倍以上になります。このお金が、コロナ問題の収束に、どれだけ有効に働いたかが判らないままに、この金額が財政赤字の積み増しで賄われ、その返済が次世代送りされているのです。

なお、この「PCR検査の徹底」に対し、それは実行不可能だと訴える人が、感染症医療の専門家を含めて多数居られます。その理由は、PCR検査数を増やすと隔離・治療しなければならない感染者数が、急速に増えて、医療崩壊が起こるとするものです。確かに、PCR検査の数を増やせば、一時的には感染者数が急増して、医療崩壊が起こる懸念があります。しかし、これを乗り越えれば、感染者数は逐次減少し、やがて完全ゼロを達成することになりますから、コロナ問題の完全収束ができるのです。このようにして、余剰になったPCR検査の設備は、お金が無くてPCR検査の徹底を行えない途上国で、したがって、世界のコロナ問題の収束のために使うことができるのです。

これに対して、PCR検査の徹底を行わなければ、感染者数の増加は止まらず、破滅的な医療崩壊が起こることになります。

 

⓷ 感染者数や死者数が少ない日本においても、感染者数の増加が止まらないなかで、コロナ問題で落ち込んだ経済を再建するためにも、できるだけだけ速やかなコロナ問題の収束が求められています

上記(⓵)の表 1に示したように、日本は、人口当たりのコロナの感染者数においても、また、人口当たりの死者数においても、世界でもかなり少ない値を示しています。これは、日本だけでなく、どうやら、東南アジア諸国での共通した特徴のようで、人種的なコロナウイルスへの免疫に関わる要因があるのではないかとも考えられています。

特に、コロナ問題発生の地の中国で、コロナ問題の第一波の収束後、顕著な第二波の出現が見られず、感染者数が少ない値を保っていますが、これは、感染者が発見された地域で、直ちに、「ゼロコロナ対策」とよばれる強制的な「都市封鎖」が行われ、その前提条件としての「PCR検査の徹底」が行われているためと考えることができます。このような、強制的なコロナ問題収束対策を行うことができるのは、一党支配の中国だからとの見方もありますが、コロナ問題の完全な収束のためには、「PCR検査の徹底」が必要なことを如実に示していると考えるべきです。

いま、コロナ問題の第三波の襲来ではと言われる感染者数の著しい増加が見られる日本においても、上記(⓶)の私どもが提言する「PCR検査の徹底」によって、感染者数ゼロを実現すれば、中国と同様に、その後の経済再建が可能となるはずです。

この日本では、いま、上記(⓵)した世界におけると同様、気温の低下とそれに伴う湿度の低下の他に、やはり、西欧諸国におけると同様、コロナ問題による経済成長の低下を防ぐための経済成長対策の実行が影響して、感染者数の増加に歯止めがかからない状態が続いています。この日本での経済成長対策として採られている Go to トラベルやGo to イートなどのGo to キャンペーン政策の普及による、3密回避対策の緩和措置の実行が、最近の感染者数増加の大きな要因になっていると考えられます。

コロナ対策としての政府主導によるGo to キャンペーによる経済の再建は、結局は、国家財政の赤字の積み増しにより賄われており、経済の再建になるどころか、経済のマイナス成長を導くことになると考えるべきです。このGo to キャンペーン事業に対しては、感染症医療の専門家からも、見直しを行うべきだとの提言が行われていますが、経済再建の優先を主張する菅首相は、現状では、その必要がないとして、応じる気配が見られません。困ったことです。

これに対して、私どもが提言する「PCR検査の徹底」により、コロナ問題の収束が図られれば、いま、日本だけでなく世界のアスリートが熱望している東京オリンピック・パラリンピックの確実な開催が可能となるだけでなく、コロナ問題による世界経済の落ち込みを防ぐことができ、世界経済の成長を支えてきた化石燃料の枯渇に伴う世界経済のマイナスを最小限に止めることができるのです。

 

ABOUT  THE  AUTHOR

久保田 宏(くぼた ひろし)
1928年生まれ、北海道出身。1950年、北海道大学工学部応用化学科卒業、工学博士、
東京工業大学資源化学研究所 教授、同研究所資源循環研究施設長を経て、1988年退官、
東京工業大学 名誉教授、専門は化学工学、化学環境工学。日本水環境学会 会長を経て名誉会員。JICA専門家などとして、海外技術協力事業に従事。中国同済大学、ハルビン工業大学 顧問教授他、日中科学技術交流により中国友誼奨賞授与。

著書に『解説反応操作設計』『反応工学概論』『選択のエネルギー』『幻想のバイオ燃料』
『幻想のバイオマスエネルギー』『原発に依存しないエネルギー政策を創る』(以上、日刊工業新聞社)、『重合反応工学演習』『廃棄物工学』(培風館)、『ルブランの末裔』(東海大出版会)、『脱化石燃料社会』(化学工業日報社)、『林業の創生と震災からの復興』(日本林業調査会)、『改訂・増補版 化石燃料の枯渇がもたらす経済成長の終焉—科学技術の視点から、日本経済の生き残りのための正しいエネルギー政策を提言する、電子出版 Amazon Kindle版 2017年2月』、『シェール革命は幻想に終わり現代文明社会を支えてきた化石燃料は枯渇の時を迎えます-科学技術の視点から、日本経済の生き残りのための正しいエネルギー政策を提言する―、電子出版 Amazon Kindle版 2019年10月』、『温暖化物語が終焉しますいや終わらせなければなりません-化石燃料の枯渇後に、日本が、そして人類が、平和な世界に生き残る道を探ります-電子出版 Amazon Kindle版 2019年11月 』他。

E-mail:biokubota@nifty.com

 

平田 賢太郎(ひらた けんたろう)
1949年生まれ、群馬県出身。東京工業大学大学院理工学研究科化学工学専攻修士課程修了。三菱油化株式会社入社、化学反応装置・蒸留塔はじめ単位操作の解析、省資源・省エネルギー解析、プロセス災害防止対応に従事し2011年、三菱化学株式会社退職。2003年 技術士(化学部門-化学装置及び設備)登録。現在、Process Integration Ltd. 日本事務所および平田技術士・労働安全コンサルタント事務所代表。公益社団法人日本技術士会 中部本部 本部長。著書に、『化学工学の進歩36”環境調和型エネルギーシステム3.3 石油化学産業におけるシナリオ”』(槇書店)、『改訂・増補版 化石燃料の枯渇がもたらす経済成長の終焉—科学技術の視点から、日本経済の生き残りのための正しいエネルギー政策を提言する、電子出版 Amazon Kindle版 2017年2月』、『シェール革命は幻想に終わり現代文明社会を支えてきた化石燃料は枯渇の時を迎えます-科学技術の視点から、日本経済の生き残りのための正しいエネルギー政策を提言する―、電子出版 Amazon Kindle版 2019年10月』、『温暖化物語が終焉しますいや終わらせなければなりません-化石燃料の枯渇後に、日本が、そして人類が、平和な世界に生き残る道を探ります-電子出版 Amazon Kindle版 2019年11月 』他。

E-mail: kentaro.hirata@processint.com

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