石油文明の終わりを覚悟し、次の時代を構想せよ!

終焉に向う石油文明:石油ピークは食料ピーク、そして文明ピーク

地球は有限、資源は質が全て。エネルギーは文明の形を決める、エネルギー無しには何も動かせず、何も作れないから。今は石油文明、その石油がもう限界に、それが石油ピークの意味である。

今の日本、経済浮揚、温暖化一辺倒だが、石油を始めとする地球資源ピークをよく理解し、基本戦略を構築する必要がある。

今から10年以内にも、石油不足が顕在すると見られており、もう安く豊かな石油時代は終った。しかしその代替などないと理解することである。

例えば原子力だが、それは一次エネルギー全体の一割程度であり、世界では数%でしかないのである。今後原子力発電所を急いで作るとしても、そう簡単ではない。今の10倍の数の原子力発電所を10年以内など不可能である。そしてウラン資源も有限である。

他の新エネルギーについても、太陽、風力が伸びているといっても、未だに一次エネルギー全体に占める量はごく僅か、しかもエネルギーの質、EPRは石油と比べてきわめて低い。更に、これらは電気であるから石油の代わりとならない。

流体燃料である石油は、内燃機関で動く車、船、航空機に欠かせない、石油ピークは現代の運輸システムを直撃するのである。これは世界の貿易システムの根底をゆるがす、グローバリズムは凋落するしかない。

更に石油は化学工業原料である。様々なプラスチック、薬品など殆どの化学物質の原料である。このように石油は現代文明の生き血なのである。この代替は無いのであり、石油で成り立つ現代文明の終焉を意味する。

また、現代の農業は石油漬けである。肥料、農薬、機械に大量の石油を使い、食品加工、流通など、消費される食料エネルギー1キロカロリーに石油10キロカロリーを使ってる。石油を食べているようなものだ。

日本は今、食料の6割を輸入している。食料の重量に運搬距離を掛けた数字をフードマイレージというが、日本のフードマイレージは9000億トンキロメートルを超え世界一。国民1人当たりで計算しても世界トップ。石油がピークは、食料ピークだということを認識しておく必要がある。

石油ピークに備える、日本のプランB・もったいないの心

自然との共存は、先ず自国の地勢、自然をよく理解すること。日本は大陸ではない、山岳70%の列島、海岸線は世界第6位と長い。地域多様性を重視した「日本のプランB」を考えたい。そして、もったいないの心で、心豊かな人の絆を大切にする多様な地域社会を目指すのである。

科学合理性、リアリズムを念頭に21世紀の理念としてRelocalizationを提唱する。そして、GDP成長よりGNH(Gross National Happiness)と思うのである。

石油の供給が集中的な工業社会、現代文明を支えてきた。この石油が減耗するのだから、社会は集中から分散に向かわざるを得ない。

現代工業化社会、産業は効率を求め人員を整理してきた。リストラは正義とされた。経済不況で企業は政府に頼りながら、人員整理を進めたのである。雇用を切った経営者はむしろ高く評価され、格差社会の到来で高給を貪ったが、国民、市民はますます苦しく、心はすさんだ。

もう石油がふんだんに使える時代は終わった。これからは自然と共存し、地産地消の自立型の文明を構築しなけらばならない。

集中から分散、Relocalizationである。これで大幅な雇用が回復する。効率至上社会から、人手を大事にする社会、地産地消の地域分散社会を目指すのである。

ハイテクがよいとは限らない、多くの場合、エネルギー浪費型である。

例えば何か他のエネルギー源から水素を作り、水素燃料電池を使うより、元のエネルギーを有効利用するほうが賢い。更に加えるなら、車より自転車、が今では未来型、ハイテクのシンボルとされる人型ロボット、介護にもというが、それこそ間違い。仕事もないと嘆いている人にこそ大事な介護の仕事である。イノベーション、科学技術の意義を間違ってはいけない。

更に言う。石炭ピークが2030年にはくるのである。経済発展を謳歌する中国だが、その石炭ピークは2015年ころと見られる。

最近、世界各地の石炭資源が見直され、その質の劣化が予想以上だったのである。日本で誤解される、石炭はあと何百年は幻想でしかない。世界戦略、対中国戦略はこのような意味でも再構想する必要がある。

現代文明の一大変革に日本はどう備えるか、私は「日本のプランB」を唱えている。その心が「もったいない」、日本の伝統的な自然と共存、無駄、浪費しない、人の絆を大事にする社会、マネーで測るGDPより、幸福度を指標とするGNH(Gross National Happiness)を目指したい。

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