「日本文化の再構築と創造」


先日NHKクローズアップ現代では、TV番組から日本の時代劇が消えていくのを取り上げた。水戸黄門も番組終了となり、時代劇は存続が難しいことを嘆いていた。「男はつらいよ―寅さんシリーズ」の山田洋次監督との対談で進められた。時代劇が時代考証、背景づくり、衣装等にコストが掛かり過ぎ、また高齢者は好むが、視聴率が低い、スポンサ―が付かない等の理由であるとか。これに反して、現在韓国では文化が国家戦略であり、映画作製にも支援が大きい等で、時代劇も多く制作され、視聴率も高いことを挙げた。確かに韓流は、世界的なブームとして成功している。


しかし、国家支援があるから成功しているだけではない。私もチュモン、テジョヨン、ソドンヨ、テワンセジョン、ハンミョンフェ、ホジュン、ヘシン、サンド等をある意味で夢中で見て来た。先ず、役者が上手い、脚本が良く出来ている、監督が優れている等であり、その内容は、奴隷から身を起して建国する話しや極貧から成功して出世する話し等であるが、それぞれ筋書きは異なるものの4つの構造がある。第一に主人公が大きな夢(ビジョン)を持つこと、第二にこのビジョンに共鳴する仲間が存在し、組織化すること。第三に主人公の脇に情報を収集し、分析し、助言する人間が存在すること、第四に思わぬ出会いが助けること、第五に主人公は大事な時に、敵の懐に飛び込むことを潔く行うこと等である。大戦略を行う主人公は、総合的な決断力、胆力、人心掌握力に優れている。危機を何度も乗り越える経験をしながら、成長していくのである。

こうした時代劇は、国民の高い視聴率を取っている。著名なイ・ビョンフン監督は、韓国にも人物がいたことを発掘すると言う意図で映画を撮っているという。また、視聴率競争は激烈で、一晩で脚本を手直しさせる厳しさもある。

日本では司馬遼太郎が戦後日本にも素晴らしい人物がいたことを発掘する目的で、幕末の人物を生き生きと描いて日本人に新しい認識をさせたことに似ている。
韓国の成功は、決して単に国家支援があるだけではなく、こうした文化や時代の再認識も大きな役割を果たしている。

最近、国際見本市での韓国勢の攻勢が伝えられている。日本の想像力の劣勢が比較されている。こうした国家観や産業創造に、韓国の文化の背景が大きな役割を果たしているような気もする。

では日本はどうなのか。大震災以降日本人の絆への回帰や家族や地域の見直し、自然と共に生きる豊かさ等を再確認している。

日本は、華道、茶道、和歌、武道、料理、和菓子、能、歌舞伎、音曲、自然との共生、庭園、花見、季節ごとの行事、仏像、木造家屋、田園風景等伝統にも裏打ちされた優れた文化や様式が存在する。また、昨年末出版された日経小説大賞受賞の「野いばら」(梶村啓二著)は、幕末の英国軍人と武家の娘の淡い恋を描いた秀作であるが、日本人の礼儀正しさや日本文化や自然と豊かな心情を交わす様が描かれている。

今、日本の文化、伝統、暮らし方、創造的教育、国際的な展開方法、政治の根本、人間関係の在り方、芸術、工学/理学、道徳、宗教等感性豊かな心の所在をもっと再構築し、その上で豊かな文化創造の「人間復興」を大きな柱にする時代のようにも感じる。            
 

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