現代社会は破局に向かう~~科学技術・経済・地球環境・官僚機構がつくる構造的腐敗~~

田村八洲夫

 

原発の産学官利益共同体がつくった「安全神話」が福一原発大事故を起こした。現在、地球の資源と環境を食い物にしたグローバルな産学官共同の「成長神話」が人類を衰退に追い込んでいる。            〈

 

1〉科学技術の行く末

CPUのマイクロ化が加速し、ナノテクノロジー・インターネットと一体になって進化している。そして、2020年代後半にはパソコン一台の処理能力が人間頭脳の10億倍になり、2045年頃にAIが人間頭脳を必要としないでプログラムを自己進化させるシンギュラリティ(特異点)、即ち社会を根底的に変える「AIビッグバーン」に至るだろうと予想されている(Google社カーツワイル)。これら技術の進歩は人間叡知の結実だが、人間利欲が誤って使うと人類を破滅に晒す。

 

〈2〉現代経済と地球環境

現代の世界の支配的な経済体制は資本主義である。米国・日本・中国はそのトップランナーで、強度な資本主義的生産活動によって、①人口・産業の都市集中と地方過疎が加速し、②経済的なエネルギー・鉱物資源をほとんど枯渇させ、③耕地の荒廃・熱帯雨林等の皆伐に伴って、砂漠化が広範に拡大し、さらに④質的に異常な気候変動を生じさせ、⑤海の荒廃(マイクロプラスチック汚染を含む)も加わって、⑥生物多様性の喪失=食物連鎖の崩壊が相乗的に加速している事実がある。
そして2050年頃を境に世界人口約100億を頂点に人類社会は衰退の坂を転がるというMIT・ローマクラブ「成長の限界」の半世紀弱前のシミュレーションが当を得ている様相である。 これに原発大事故・核戦争が起れば人類衰退が早まることは容易に想像つく。 すべては持続性を求める知性優先よりも資本主義的利欲優先の文明活動(永続的な成長前提)が招いている。エネルギー的に換言すればEPRが劣化しても便利なエネルギーに固執し、エントロピーの累進的増大を排除できない資本主義的文明構造にある。「今だけカネだけ自分だけ、愛孫の時代も含めてあとは野となれ山となれ」である。
尚、資本主義の基本的特徴は、資本が資源と労働を支配して科学技術を効率的に駆使して大量に新製品を生産し、市場で大量に消費させ、大量の残余を環境に廃棄することによって資本の生
産回転率をあげて利潤増殖を確保する競争排他的な経済システムと定義できる。投資空間が狭くなってきた資本主義が生き延びるため排他性が「自国第一」になってきたのが現在である。

 

〈3〉官僚機構はコウモリ

政権の目的・意図に沿ってPDCを実行するのが官僚機構である。主権在民の政権の下では官僚機構は国民目線の公僕に徹することができる。しかし政治目的が国民主権から逸脱している政権下では、いくら学識・教養があっても、先ず高級官僚がそれに擦り寄ることによって公僕の立場から逸脱して保身に走り、上意下達で官僚機構全体が反公僕的に染まって腐敗していく。
官僚機構の腐敗は政権の意向を忖度して、ethicsを捨て、虚偽答弁、公文書やデータの改竄、証拠隠滅等を巧みに積み重ねて、悪法を巧妙に提起し成立させる。その見返りに天下りを重ねて終身生活保障を得る。
官僚機構を腐敗変質させる背後には圧力団体があり、財界が圧倒的に強い。官僚機構の腐敗は大学や科学技術にも浸透している。①研究欲を補助金政策等によって経済実用的・近視的な研究に偏向させる。②合わせて政府委員会に取り込んで名誉欲を駆り立て、研究者の良心を萎えさせていく。 学問の自由・大学の自治が失われていく。

 

〈4〉子孫の社会に責任を

子供や孫を可愛がるだけでは「ペット」と何ら変わらないのではないか。愛する子孫が安心して幸せに人生を営めるように地球と社会の環境作りに参画するのも親の仕事である。愛には責任が伴う。
本稿では、科学技術・経済・地球環境・官僚機構を現代社会のランディングを差配する重要側面として取り上げた。側面それぞれの各論を深めると共に、目指す「持続するもったいない社会」の確固たる総論(骨太の方針)を議論を通じて作り上げたいものである。現在はそのチャンスだと考える。

 

〈参考文献〉
・「シェアリングエコノミー」第1章~第6章、田村八洲夫著、幻冬舎発行
・「名誉会長ブログ」、もったいない学会HP

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