TPPによる日本の農業と地域経済の自立への挑戦

環太平洋連携協定(TPP)は国際巨大資本の生き残り戦略

国際貿易と国際協調を曲がりなりにも目指してきた日本にとっては、石油減耗時代の国家間生存競争の軋轢の増大により至難の時を迎えています。環太平洋連携協定(TPP)は世界を席巻してきた米国巨大資本の代表的な生き残り戦略と考えられます。

現在715日より25日までマレーシアのコタキナバルでTPP交渉の第18回目の全体会合が行われていますが、日本は本交渉に23日から参加予定です。TPP21分野に渡る貿易自由化ルールについて協議が行われています。

国家と企業の生存競争の色合いが強いですので、協議は米国が新薬特許保護強化を主張する知的財産権ルールや衛生植物検疫ルール等、健康や食の安全を含む多岐の分野について意見対立と協調介入があります。

物品市場アクセス分野では、特に農産物の乳製品、酪農製品、穀物について、国家・農業団体の鋭い対立があります。原則関税を撤廃する方向の協議ですから、酪農大国米国においても同じ酪農大国ニュージーランドからのチーズ等乳製品の輸出攻勢に関して強い警戒心を示す一方、カナダに対しては市場開放を強く求めるというマダラ模様です。

日本の農村地域社会の経済的自立への挑戦

地理学的に弱小農業国の日本については農業大国が一致して米、麦、砂糖、牛肉・豚肉等の市場開放を強く求めています。コメなどの主要農産品の関税を撤廃すれば、政府予想でも農業部門の生産額が3兆円余減少すると見込まれています。

地域経済への大打撃になると予想されますが、地域毎に影響が異なります。具体的事例では、熊本県では酪農関係は全滅に近く乳製品100%、牛肉70%、豚肉79%が減少すると見積もられています。香川県では39%-額にして178億円の生産減少、徳島県で39.8%-額にして213億円が減少すると見積もられています(文化連情報20135月号,6月号,7月号)。日本の農村地域社会の経済的自立が崩壊すると予想されます。 

米や産直野菜・果実の生産を支える農業担い手への巨大農業資本の攻撃

輸出拡大などが農業でのマイナス効果を相殺するとした政府は、TPPで壊滅的打撃を受ける可能性のある農業について、規制緩和により一挙に企業の農業参入を促し農地の規模拡大を図り対応すると発言しています。

しかし現在農業を支えているは高齢者や資金が少なく家族経営の農業の担い手が多く、米国等海外の巨大農業資本の農畜産物に曝されれば排除され生活する術を失います。弱小農業国日本ですが、これらの農業者の自立した生産活動が、身近なJA産地直売所、生協、スーパー等の店で販売される米や安全な産直野菜・果実の生産を支えているため、TPPによる農産物の関税撤廃には強く反対します。

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