ハノイの交通は合理的

2013年2月末、何年かぶりでベトナムのハノイを訪れた。そこで交通量が多いことを再認識した。変わった点は、以前は自転車とモーターバイクが多かったが、自動車の数がかなり増えたことである。
 

写真 ハノイの交通 2013年2月28日、山中京子様撮影
 
ハラハラする運転である。タクシーに何度か乗ったが、クラクションをガンガン鳴らしながら、自転車とバイクの「川」を流れるように移動する。車両間の隙間はほとんどなく、お互いにすれすれですれ違う。信号はそれ程多くなく、信号が無い交差点ではあうんの呼吸で針の孔を通すように交差する。そしてほとんど停止しない。動きっぱなしである。
 
バンコク、マニラ、プノンペンはこれとはずぶん違う。急発進、急停止の繰り返しである。止まらず、ゆっくりと走るのはハノイ独特といっていい。
しかし事故は不思議と少ない。あってもちょっとこする程度で、人身事故は見なかった。なぜ事故もなく、スムースに移動できるのだろう?
理由は、自動車もバイクも自転車も同じスピードで走っているからであることに気が付いた。クラクションを鳴らすのは、「じゃまだからどけ」ということではなく、「ここに車両がいますよ」という合図であった。
 
ハノイの中心地ではスピードは20-30キロ程度である。中心地から離れると車両の数がやや少なくなる。そこでの自動車とバイクのスピードはやや速くなる。さらに郊外に出るともっと少なくなり、自動車の速度は50キロ以上になってくる。
自動車はバイク、自転車を無理に追い越そうとはしない。パリやジュネーブではバスと自転車は共存している。バスは前を走る自転車を決して追い越さない。またパリ市内の制限速度は30キロである。
自動車やバイクの燃費は、停止時間が長い程悪くなる。遅くても一定速度で動いていた方が燃費はずっと良い。つまりハノイの交通は、エネルギーの観点からは非常に合理的である。
このような交通システムになったのは、おそらく自転車から始まり、バイクの参入、自動車の参入という歴史があったからであろう。最初は自転車だけであったのが、次にバイクが参入してきた。しかし量では自転車の方が圧倒的に多く道路を占領していたので、バイクは自転車の速度に合わせなければならなかった。そして今度は自動車が参入してきたが、自転車、バイクが道路を占領しているので、自動車は自転車、バイクの速度に合わせる必要があった、ということなのだろう。
日本でハノイのような交通が可能か?日本では自動車が自転車を追い越さず、ゆっくり走るという習慣は無い。しかし制限速度を下げ、自転車優先にすれば、もしかしたら可能ではないか?
都内を自転車、バイク、自動車、バスが同じ速度でゆっくり移動する。しかし自動車の時間当たりの移動距離は、速度が遅くなっても変わらないのではないかと思う。

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