円安誘導は 高騰する石油価格を増幅させ 景気を悪化させよう

1.石油価格の現状
最近の原油先物市場を見ると、1バーレルあたり、ドバイ原油が$110、WTIが$90、ブレント原油が$110の高値で推移している。ドバイ原油は中質油でアジアの原油価格指標、ブレントは北海油田産の軽質油でヨーロッパの原油価格指標、WTIは米国テキサス産の超軽質油で北米の原油価格指標である。2012年1月にサウジアラビアが、好ましいとする原油価格を$75から$100に引き上げたが、現在はそれを超える価格である。

2.今後の石油価格高騰の要因
今後、油価を上昇させる要因として、①先進国の石油消費節減を超えて、経済急成長を続けるBRICs等の発展国と中東産油国の需要増加、②イラン原油の禁輸による供給減、③イージーオイル(チープオイル)の生産減耗による供給減が考えられる。
① について、とりわけ中国、サウジアラビア、UAE、インド、イラン、タイで需要が 急増しており、年平均の増加が約100万バーレル/日にのぼり、$10程度はすぐにでも上昇しうるものとみられる。 
②のイラン原油430万バレル/日の禁輸が実施され、余剰生産能力のあるサウジアラビアからの補償供給がなければ、世界的に大幅な供給減となる。この減産量は、2011年世界生産量8,350万バレルの約5%、日本の輸入量に匹敵するもので、$20~30上昇するだろうと観測されている。
①、②を合わせると、$40上昇する恐れがあり、1バーレル$150の時代に突入することになる。

3.日本の石油消費
日本の輸入量はおおむね450万バレル/日である。もし油価が$40上昇すると、年間輸入金額が650億ドル(5兆円、GDPの約1.2%)も増加する。日本の産業と生活の石油依存率は、全エネルギー消費量の43.7%で、先進国の中で依然一番の依存率である。そして世界で一番大きなフードマイレージ(食料の物量×輸送距離で表す)、その他の輸入品に含まれている石油の間接消費量も非常に多い国である。日本は文明を支えるエネルギー資源の99%、食料の60%が海外依存、輸送を含めてその大部分が石油依存である。

4.石油価格上昇の影響
このように石油価格が上昇すると、国内企業は生産財・サービスの値上げ、賃金抑制、さらに利益の減少、投資抑制につながる。家計は、消費財・サービスの物価上昇と収入低減で購買力低下、貯蓄の減少となる。国民の貯蓄高が減少すると国債が下落する。 石油輸出国への所得移転マネーを当てにして日本からの製品輸出の増加もあるが、韓国、中国、米などと競争して、移転したマネーのすべてを回収できる貿易環境にはない。‘石油価格が上昇すれば景気が悪くなり、GDPが下がる’ということは、経済が成長していた時代での、二度の石油危機で経験済のことである。

5.貨幣増量の円安はインフレ不況を招く
このような状況の中で、新政府は、GDP上昇、景気回復のためと称して、政策的に金融緩和によって円安誘導するとのことである。円安になればその分、石油の国内価格は上昇し、国内生産コストと家計消費コストが上昇する。企業はさらに経営悪化に、国民生活は、いっそう不安で収縮しよう。デマンドプッシュなく、コストプッシュによるインフレが進むであろう。

6.外国はどうか
米国は、石油自給は40%程度だし、シェールオイルもある。したがって、イラン禁輸を実行しても、産油国と同様に、石油供給不足および価格高騰による影響を基本的に受けない。最も困るのは、非産油の新興国、日本および韓国であろう。

7.円安政策に石油減耗の到来が重なるとどうなる

さらに上述の③、イージーオイル、すなわち安い原油生産の減耗が目に見える形で進むと、石油価格はさらに上昇しよう。そして政策的な貨幣増量、そして危機に強い米国のドル高が重なると、円安が激しく増幅され、インフレ乱舞になるだろうとの筋書きが見えてくる。

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経済学には門外漢の者が、石油価格の動向予測と円安化政策から、直感的に描いた近未来の日本経済に対する危機意識である。 
日本には経済の専門家、経済学士は非常に多いと思う。 日本を危機から救うために、皆様のお考えを聞きたい思いである。

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