「原子力ムラの腐臭」

 今地方紙が健闘しています。「原子力ムラの腐臭」 (2012年06月06日 紀伊民報Agara)


 産官学が結びついて形成した「原子力ムラ」が腐臭をまき散らしている。最近の全国紙をみても、官僚組織と電力会社、研究者の不適切な関係が次々と暴露されている。

 ▼4日の産経新聞は、東京電力福島第1原発事故の原因となった長時間の全電源喪失について、国の原子力安全委が「対策は不要」という文書を電力会社側に出すよう指示。東電が作った文書をもとに報告書を作成して、安全指針の改正を見送っていたと報じた。安全確保より、電力会社側の利益を優先したといわれても仕方がないだろう。

 ▼3日の朝日新聞は、高速増殖原型炉「もんじゅ」の安全性を調べるための専門家委員会の委員3人が原子力関連企業・団体から、5年間に1610万円の寄付を受けていたことを調査報道で明らかにした。それぞれ、阪大、京大教授など立派な肩書を持った専門家だが、賄賂まがいの寄付をもらって恥じない様子である。

 ▼労組も負けてはいない。東電労組の委員長は先日、中部電力労組の大会で「裏切った民主党議員には、報いをこうむってもらう」と脅迫、脱原発に動く民主党の政策に不満を示した。

 ▼みんなまるで、あの原発事故がなかったかのような振る舞いである。多くの人が故郷を追われ、今も苦しんでいるのに、こんな連中が国の原子力政策を牛耳っているとはどういうことか。それを制御できない政治が嘆かわしい。もう、市民が立ち上がるしか手はないのだろう。 (石)

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