何故、いま、「第5 次エネルギー基本計画」のなかで、2030 年度の電源構成の原発比率の20 ~22 %が必要なのでしょうか?(その1)  安価な化石燃料(石炭)を用いる火力発電が使える限り、3.11事故で停止した原発の再稼働の必要はありません。核燃料廃棄物処理・処分費用の負担を次世代送りする「原発の再稼働」は、化石燃料枯渇後の日本経済の生き残りの道を阻みます

東京工業大学名誉教授  久保田 宏
日本技術士会中部本部 事務局長 平田 賢太郎

(要約);

① 3.11福島の事故後、その稼働を停止している原発電力の不足分は、化石燃料を用いる火力発電の年間平均設備稼働率を上げることで十分対応できていますから、必要な電力の供給を確保するためとしての「原発の再稼働」は不要です

② いま、安倍政権の「原発再稼働」を支持している人々は、原発を再稼働させないことで、3.11 以降、原発電力代替の火力発電用の化石燃料の輸入金額が増加していると訴えています。しかし、その主な原因は、化石燃料資源枯渇の懸念から起こった2004~2015年度の原油の国際市場価格の異常高騰でした。世界各国が協力して、化石燃料の消費量を節減すれば、この化石燃料輸入価格の異常高騰は起こりません

③ 化石燃料のなかで、安価で、その国際市場価格が安定している石炭を用いた火力発電を利用していたら、3.11福島原発の過酷事故は起こらなかったでしょうし、今後も、事故リスクを避け、当分の間、原発電力無で、最も安価な電力を生産することができます

④ 資源エネルギー庁発表の原発電力の発電コストは、いま、経済成長の主役を担っている化石燃料(石炭)を用いる火力発電のコストより低いとしていますが、この発電コストの値には、算定不可能な核燃料廃棄物の処理処分のコストが含まれていませんから、この値をもとに、原発電力が、石炭火力の発電コストより安価だとすることはできません

⑤ 核燃料廃棄物の処理・処分費を含まない原発電力の発電コストの値が、化石燃料(石炭)を用いた火力発電のコストより小さいとする資源エネルギー庁の公表数値は、原発を用いて国民に安価な電力を供給していることを示すためではなく、原子力産業の生き残りのための「原発の再稼働」が必要だとする根拠を与える目的で使われています

⑥ 処理・処分の方法の無い核燃料廃棄物を積み増す「原発の再稼働」は、経済成長への欲望を捨てきれない現代人の、次世代に対する犯罪行為です。「第5 次エネルギー基本計画」のなかの2030年度の原発電力20 ~ 22 % は、国民の多数の「原発ゼロ」の願いを妨げる亡国のエネルギー政策です

 

 

(解説本文):

① 3.11福島の事故後、その稼働を停止している原発電力の不足分は、化石燃料を用いる火力発電の年間平均設備稼働率を上げることで十分対応できていますから、必要な電力の供給を確保するためとしての「原発の再稼働」は不要です

政府は、今夏に閣議決定が予定されている「第5次エネルギー基本計画」のなかで、2030年度の電源構成のなかの原発電力の比率20 ~ 22 %を明記するとしています。具体的には、3.11 の福島第一原発の事故以降、稼動の停止を余儀なくされていた原発の中から、30基程度の原発を再稼働させるとともに、40年の法定使用年数を60年まで延長させることで、この電源構成のなかの原発比率の目標を達成するとしています。しかしながら、原発の再稼働とともに、その使用年数の延長のための安全対策には、巨額の費用が新たに必要になるから、原発電力が安価だと主張してきた政府の主張が崩れてしまうとの厳しい批判もあります。

では、このように、何としてでも、原発を再稼働しなければならないほど、いまの日本は、電力供給に不足しているのでしょうか? 確かに、3.11の直後には、東北・関東地方の一部地域で、電力供給の不足による計画停電が起こりました。しかし、それは、原発事故の原因となった東日本大震災による石炭火力発電所の被災による設備能力の一時的な低下によるものだとも言われています。もともと、ベースロード電源として使われている原発の年間平均設備稼働率は、日本エネルギー経済研究所編のEDMCエネルギー・経済統計要覧(以下、エネ研データ(文献 1 )と略記)に記載の電力需要データをもとに計算して作成した 図1 に示すように、80 % に近い値を維持しており、需用変動のピーク時には、この変動の対応に強い火力発電が用いられていました。そのために、3.11 事故以前の火力発電の年間平均稼働率の50 % 程度を、3.11以後、60 %程度に引き上げることで、失われた原発電力に対応できているのです。もし、電力供給に問題があるとすれば、夏期の冷房用の電力のピーク時への対応を考えればよいだけですから、そのために、いま、原発を再稼働しなければならない理由は存在しません。

図1 原発電力と火力発電の年間平均設備稼働率の年次変化

(エネ研データ(文献1 )の一般電気事業用のデータをもとに作成)

 

② いま、安倍政権の「原発再稼働」を支持している人々は、原発を再稼働させないことで、3.11 以降、原発電力代替の火力発電用の化石燃料の輸入金額が増加していると訴えています。しかし、その主な原因は、化石燃料資源枯渇の懸念から起こった2004~2015年度の原油の国際市場価格の異常高騰でした。世界各国が協力して、化石燃料の消費量を節減すれば、この化石燃料輸入価格の異常高騰は起こりません

いま、「原発の再稼働」の必要を訴える人々は、3.11以後、この原発電力代替のための火力発電用の化石燃料の輸入金額が、3.11 以前に較べて、3.6 兆円程度増えたので、この化石燃料の輸入金額の増加を無くすために、どうしても、「原発の再稼働」が必要だと訴えています。この3.6 兆円増加の根拠となっているのは、総合資源エネルギー調査会原子力小委員会第1回会合資料(平成26年6月)の2013年度の推計に基づいた数値のようです。

これに対して、私どもは、最新のエネ研データ(文献1 )について、この火力発電用(電気事業用に自家発電を加えた合計の値)の化石燃料の輸入量と、その輸入化石燃料CIF価格(産地の価格に運賃と保険料を加えた値)から計算した、3.11以前(2010年度)と以後(2011年度以降)の火力発電用化石燃料の輸入金額を計算して、その結果を表1 に示しました。

 

1  3.11 以降(2011年度以降)の火力発電用化石燃料輸入金額の3.11以前(2010年度)に対する比較(エネ研データ(文献1 )の2018年版の電力需給データに基づいて計算し、作成)

注; 輸入金額は、化石燃料種類別の輸入量に、その年の化石燃料種類別の輸入CIF価格(産地の価格に運賃と保険料を加算した値)を乗じて求めました。

 

この表1 に見られるように、 2011年度以降の対2010年度の化石燃料輸入金額の増加は、2013年度の3.2兆円をピークとして、その後、減少し、2016年度には0.603兆円になっています。 この化石燃料の輸入金額に影響するのは、化石燃料の輸入量と輸入CIF価格ですが、この両者のうち、3.11以降の電力消費の節減努力が継続している現状では、化石燃料の輸入CIF価格のほうが大きな影響を与えています。エネ研データ(文献1 )に記載の化石燃料の輸入CIF価格の年次変化を示した 図2 と表 1を比較して頂けば判るように、2013年度の対2010年度の化石燃料輸入金額の大きな増加は、2004年度から2014年度まで続いた乱高下を伴う化石燃料輸入CIF価格の異常高騰時のなかで起こったと見るべきです。

2  化石燃料の輸入CIF価格(日本)の年次変化

(エネ研データ(文献1 )に記載の値を基に作成)

 

この化石燃料の輸入CIF価格、すなわち、国際市場価格の異常高騰は、化石燃料のなかでも、可採年数(現在の科学技術の力と経済条件の下で、採掘可能な確認可採埋蔵量 Rの値を、この値の与えられた年のそれぞれの化石燃料の生産量の値P で割ったR/Pの値)が50.6年(BP(British Petroleum) 社による2016年末の値(エネ研データ(文献1 )から))とされ、今世紀中の早い時期に枯渇し、その国際市場価格が上昇するであろうとの思惑から、原油が先物取引市場商品とされたためでした。この原油の国際市場価格の異常高騰は、20世紀末に始まった中国などの新興途上国の高度成長による化石燃料消費量の急増により起こりましたが、この新興途上国の経済成長が停滞した2014年末以降の原油価格の急落で終わったと見てよいでしょう。

 

③ 化石燃料のなかで、安価で、その国際市場価格が安定している石炭を用いた火力発電を利用していたら、3.11福島原発の過酷事故は起こらなかったでしょうし、今後も、事故リスクを避け、当分の間、原発電力無で、最も安価な電力を生産することができます

この原油価格の異常高騰は、図2にみられるように、可採年数が石油とほぼ同じ(2016年末の値で、52.5年)のLNG(液化天然ガス)でも、ほぼ、同様の年次変化が見られますが、可採年数が石油の3倍近い(2016年末の値は153年と、2015年末の114年末の値から急増しています)とされる石炭では、大幅に緩和されています。

また、表1 に示した3.11 以降の化石燃料輸入金額の増加が大きかった原因のなかには、火力発電用の燃料として、安価な石炭の利用比率が少なかったことも指摘されなければなりません。すなわち、もし、原発電力代替の化石燃料の輸入金額の増加を問題にするにするのであれば、もっと早い時期に。火力発電用の燃料を安価な石炭に替えるべきだったのです。いま、2016年度の火力発電用の一般炭の輸入CIF価格8.785千円/トン、この輸入一般炭の発熱量 6,203 千kcal/トン、石炭火力の発電効率を42 % としますと、

(単位発電量当たりの石炭の輸入金額)

={(8,785円/トン) /(6,203 千kcal /トン)}×( 860 kcal/kWh) / (0.42)= 2.90円/kWh

2016年度の火力発電量876,711 百万kWhから、この石炭の輸入金額は、

(876,711百万kWh)×(2.90 円/kWh)=2.54兆円

となり、表1 の2016年度の化石燃料の輸入金額3.97兆円より1.43 兆円減になります。

したがって、いま、資源エネルギー庁は、火力発電用燃料としての石炭の利用比率を上げることに一生懸命ですが、環境省や環境保護団体は、この石炭の利用に対して、地球温暖化を促進するとして反対しています。すなわち、1990年代から、地球環境問題としてクローズアップされている地球温暖化問題が、エネルギー問題のなかに入り込んでいるのです。

しかし、世界のCO2排出量の3.5% 程度しか排出していない日本が、発電用燃料の石油から石炭への変換で、世界の地球温暖化がどれだけ促進されるのでしょうか? 地球温暖化対策としてのCO2の排出を削減するのであれば、その最も確実で、お金のかからない方法は、国内の電力および電力以外を合計した一次エネルギー消費量(化石燃料資源量換算のエネルギー量)の節減に努めればよいのです。因みに、日本は、3.11 以降、この省エネに熱心で、2016年度の2010年度に対する一次エネルギー消費量の節減比率は12 % 程度になっています。 成長のエネルギー源である化石燃料のほぼ全量を輸入に依存する日本では、この省エネ努力を今後も継続すべきです。すなわち、石炭火力発電の利用は、この省エネ努力の継続を前提としたものでなければなりません。

 

④ 資源エネルギー庁発表の原発電力の発電コストは、いま、経済成長の主役を担っている化石燃料(石炭)を用いる火力発電のコストより低いとしていますが、この発電コストの値には、算定不可能な核燃料廃棄物の処理処分のコストが含まれていませんから、この値をもとに、原発電力が、石炭火力の発電コストより安価だとすることはできません

もともと、原子力エネルギーの電力への変換(原発電力)利用は、化石燃料の枯渇(私どもは、その資源量が少なくなり、その国際市場価格が高くなって、これを使えない人や国が出て来ることとしています)後、その代替として用いられるべきとして、その開発・利用が始められるべきでした。であれば、その実用化・利用の拡大は、現在、経済成長のエネルギーとしての電力供給の主体である化石燃料を用いた火力発電との比較で、その発電コストが安価であることを前提とした、化石燃料代替の原発電力の使用でなければならないはずでした。

すなわち、久保田 宏 編「選択のエネルギー(文献2 )」に記されているように、原発電力は、火力発電のなかで最も安価な石炭火力よりも安いとされて、その利用の開発が進められてきました。ところが、産官学共同の原子力村により進められた、この原発電力の開発には、原発電力の利用を促進するための恣意的な仕組み(一種の政策的なトリック)が含まれていたのです。

具体的には、この原発電力の発電コストの計算のなかに、当時は、技術先進国日本では絶対に起こることが無いとされていた3.11福島のような過酷事故による損害賠償のコストとともに、核燃料廃棄物の処理・処分のコストを含めていなかったのです。特に、核燃料廃棄物の処理・処分の費用が無視されたことについては、最近、小泉元首相らが「トイレの無いマンション」だと、その否を訴えていますが、この言葉が、30年以上も前に、すでに、一部の原子力技術者の間で使われていました(久保田 宏 編;文献2 参照)。

ところで、この事故リスクや核燃料廃棄物の処理・処分の費用を含まないまま、原発電力を、現在、最も安価な電力だとするトリックは、現在も、そのまま残っています。それが、表2に示す資源エネルギー庁のホームページに公表されている原発電力の発電コストの値です。

3.11福島の過酷事故の後も、原発の利用・推進を継続しようとしている安倍政権は、事故リスク対応費用を「社会的費用」として、一部、考慮しながら、その方法に目途がついていない核燃料廃棄物の処理・処分のコストを無視したままの原発電力の発電コストの値を10.1円/kWhとして、火力発電のなかで最も安価な石炭火力の発電コスト12.3円/kWhより安価だとする、この表2のデータを根拠にして、原発の再稼働を進めているのです。

 

資源エネ庁発表の原発発電コストと石炭火力の発電コスト

(資源エネルギー庁のホームページから)

 

発電量 1 kWh 当たり、原発電力では、

発電原価; 資本費 3.1 円、運転維持費 3.3 円、追加的安全対策費 0.6 円、燃料サイクル費用1.5 円、小計 8.5 円

社会的費用; 政策経費 1.3 円、事故リスク対応費用 0.3円、小計 1.6 円

発電コスト合計; 10.1 円

参考として、火力発電コストについて、

資本費 2.1 円、運転維持費1.7円、燃料費 5.5円、CO2対策費3.0円、政策経費0.04円

合計 12.34円

 

この表2に示した発電コストの数値がどのようにして求められたのか、その算出根拠は明らかにされていませんが、この発電原価のなかに、「追加的安全対策費として0.6円/kWh」が入っていることから考えて、この発電コストのなかの「資本費3.1円/kWh」の値は、現在、再稼働の対象になっている既設の原発についての新設時の発電コストの平均値ではないかと想定しました。以下、先ず、この想定のもとで、表2に示された原発の発電コストについて、この値を資源エネルギー庁に公表させている政府の目的について考えて見ます。

 

⑤ 核燃料廃棄物の処理・処分費を含まない原発電力の発電コストの値が、化石燃料(石炭)を用いた火力発電のコストより小さいとする資源エネルギー庁の公表数値は、原発を用いて国民に安価な電力を供給していることを示すためではなく、原子力産業の生き残りのための「原発の再稼働」が必要だとする根拠を与える目的で使われています

先ず、上記(④)の表2の原発電力の発電コストのなかの「資本費」は、次式で計算されていると想定しました。

資源エネルギー庁によると、原発設備の最大出力当たりの最近の原発建設費は、T = 37万円/kW-設備とあります。原発の建設費は、その開発の当初から、特に、その安全対策設備改善対策のために年次、増加しています。また、現用の原子炉形式(軽水炉として、BWRとPWRの2形式が実用化されています)によっても変化しますが、インターネットで調べた国内の原発建設費とエネ研データ(文献 1 )に記載の各原発の最大出力の値から計算される(単位出力当たりの建設費T)の値には大幅なばらつきがあります。1990年度以降に稼働を開始した原発についての平均では、大凡、この値が妥当なところかと判断して、この値を用いて、原発建設の発電コストのなかの「資本費T」の値を試算してみました。

すなわち、最大出力1 kW当たりの原発設備の発電量は、年間平均設備稼働率をy = 70 %、設備使用年数をY = 40年とすると、( 2 ) 式から、

(単位発電設備容量kW当たりの発電量Q )

=(1 kW/kW-設備)×(8,760 h/年)×(y= 0.70 )×(Y=40 年)

=245.3 千kWh/kW-設備

となりますから、

(原発設備の「資本費」)= (37 万円/kW/kW-設備) / (245.3千 kWh/kW-設備)

= 1.51 円/kWh

と概算されます。

これに対し、表 2 に示す資源エネルギー庁発表の発電原価のなかの「資本費」は3.1円/kWhとあります。この「資本費」の値から、逆算される設備建設費の値は、

(3.1 円/kWh)×(245.3千kWh/kW-設備)=76.0万円/kW-設備

と計算され、この値は、上記した、資源エネルギー庁が発表している最近の原発建設費37万円/kW-設備の約2.0倍にもなります。この両者の違いの原因は判りません。

しかし、問題は、この表2に示される原発の発電コストのなかの「資本費」の比率が、原発の発電コストのなかで小さいことです。これを言い換えると、下記、本稿(その2 )で示すように、化石燃料を用いた火力発電の代替としての原発電力の利用で、火力発電のみを用いた場合よりも高い市販電力料金を設定する政策的な仕組み(トリック)ができていて、原子力産業が、このトリックを利用して利益を得ることで、日本の原子力産業を発展させてきたと考えることができるのです。すなわち、これは、国民に安価な電力を提供するための原発電力の利用ではなく、原子力産業の発展ための原発電力の利用だったのです。さらには、いま、「原発の再稼働」においても、この電力料金を値上げにより原発産業を育成するトリックが、そのまま使用されようとしています。こんなことをしていると、原発産業の生き残りのために、日本経済が破滅します。

 

⑥ 処理・処分の方法の無い核燃料廃棄物を積み増す「原発の再稼働」は、経済成長への欲望を捨てきれない現代人の、次世代に対する犯罪行為です。「第5 次エネルギー基本計画」のなかの2030年度の原発電力20 ~ 22 % は、国民の多数の「原発ゼロ」の願いを妨げる亡国のエネルギー政策です

上記(④)の 表 2 に示されるように、資源エネルギー庁が公表している原発の発電コストのなかには、「核燃料廃棄物の処理、処分の費用」は含まれていません。この「核燃料廃棄物の処理・処分の費用」の算定不可能を理由に、これを無視して、原発電力の発電コストが、いま、最も安価だとして、原発を再稼働させようとしています。これが、今夏に閣議決定されようとしている「第5次エネルギー基本計画」のなかの2030年度の原発電力比率20 ~ 22 % 目標です。

これに対して、小泉元首相ら、国民の多数が、「次世代にそのリスクと費用負担を先送りしなければならない原発の再稼働は必要がないと反対を表明しています。もちろん、原発電力を利用しなければ、私どもの生活や産業用の電力が賄えないと言うのであれば、話は別です。しかし、この原発電力が殆ど無い現状で、私どもは、化石燃料主体の火力発電電力の供給で、不自由はしていないのです。 やがて、今世紀中に必ずやって来る化石燃料枯渇の時代には、現状の化石燃料(石炭)を用いた火力発電電力より安価に利用できる、それぞれの国の国産の再エネ電力(自然エネルルギーを用いて生産される電力)に依存する社会を創ればよいのです。これは、現在の化石燃料エネルギーに依存する社会に較べて、マイナスの経済成長を強いられる社会ですが、人類が化石燃料の枯渇後に、生き延びる平和共存の社会なのです(私どもの近刊、文献3参照)。

現在の物質的に豊かな生活を継続するためのエネルギーを獲得したいとする目先の欲望のために、「処理・処分の方法の無い核燃料廃棄物を積み増す原発の再稼働」を進めることは、次世代に対する現代人の犯罪行為と言ってよいでしょう。

これを言い換えると、「第5 次エネルギー基本計画のなかの2030年、原発20 ~ 22 %」は、日本経済の生き残りにとって、絶対にあってはいけないことなのです。

 

<引用文献>

1、日本エネルギー経済研究所 計量分析ユニット 編;EDMCエネルギー・経済統計要覧2018, 省エネルギーセンター、2018年

2.久保田 宏 編;選択のエネルギー、日刊工業新聞社、1987年

3.久保田 宏、平田賢太郎、松田 智;改訂・増補版 化石燃料の枯渇がもたらす経済成長の終焉――科学技術の視点から、日本経済の生き残りのための正しいエネルギー政策を提言する――

電子出版 Amazon Kindle版 2017年2月

 

ABOUT THE AUTHER
久保田 宏;東京工業大学名誉教授、1928 年、北海道生まれ、北海道大学工学部応用化学科卒、東京工業大学資源科学研究所教授、資源循環研究施設長を経て、1988年退職、名誉教授。専門は化学工学、化学環境工学。日本水環境学会会長を経て名誉会員。JICA専門家などとして海外技術協力事業に従事、上海同洒大学、哈爾濱工業大学顧問教授他、日中科学技術交流による中国友誼奨章授与。著書(一般技術書)に、「ルブランの末裔」、「選択のエネルギー」、「幻想のバイオ燃料」、「幻想のバイオマスエネルギー」、「脱化石燃料社会」、「原発に依存しないエネルギー政策を創る」、「林業の創生と震災からの復興」他

平田 賢太郎;日本技術士会 中部本部 副本部長、1949年生まれ、群馬県出身。1973年、東京工業大学大学院理工学研究科化学工学専攻修士課程修了。三菱油化(現在、三菱化学)株式会社入社、化学反応装置・蒸留塔はじめ単位操作の解析、省資源・省エネルギー解析、プロセス災害防止対応に従事し2011年退職。2003年 技術士(化学部門-化学装置及び設備)登録。

 

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