難しいエネルギー問題-メディアの伝える「世界を変えるシェールガス」から考える

毎日新聞10年10月18日朝刊、1面と3面トップに巨大な記事が掲載された。それぞれの見出しは”世界を変えるシェールガス”、”「シェール革命」市場喪失の危機ー青ざめる露、イラン” である。

最近、新エネルギーとして喧伝される、シェールガスのことである。
 これは地下の古い堆積岩である頁岩層の割れ目などに含まれる、古代の堆積物がメタン化したガスのこと。よく知られた石油天然ガス層の孔隙内の、いわゆる在来型の天然ガスと違うもの、非在来型と言われる。

この種のガスは、昔からその存在は知られていたが、資源として質は悪く、コスト高で今まで手が付けられなかった。在来型の多孔質の石油・天然ガス層の方が、質が高く儲かるからである。

この頁岩層、シェール中のメタンが、最近のエネルギー価格の高騰で採算がとれるようになった。技術的にも水平ボーリング、水圧破砕などの関連技術の進歩がある。新エネルギーの登場である。シェールに大量の水、砂、化学物質を圧入して割れ目を作り保持させ、天然ガスをフリーにするのである。

この従来と全く異なった地質条件でのメタン生産だが、アメリカのテキサスでの成功に始り、今ではアーカンソー、ルイジアナ、北東部など広範囲に開発が広がっている。そしてカナダのBC州にも。 

その量は膨大とされるが、在来型に比してコストは数倍ほど高いようだが、石炭との価格対比で市場に浸透した。つまり高価格が開発を促しており、海外からのLNG輸入より安いので、アメリカで急速に広がった。その動きはヨーロッパ、イギリス、そして中国にも及んでいる。 だが日本には、そのような条件に合った古い頁岩層はない。つまり、これは外の国の話である。

しかし、この期待の新エネルギーだが、問題は多岐にわたる。地層内にフラクチュアを水圧破砕で作るが、ガスの生産は、初期は急速に減退する。そこで掘削井を次々を増やし、ある落着くところで生産が継続するようである。

ともかく地下に大量の水を、化学剤、砂とともに圧入するから、孔口から出てくるのはメタンだけではない。大量の汚水も流出する。それは頁岩層の外にも広く浸透するから、当然地下水にも混入し、井戸水も汚染する。家庭の水道の栓に火をつければ、ガスが燃えることすらある。これについては、ロイターのレポート、ビデオがわかりやすい。

今では、飲料水の水源地帯での環境汚染が、
新たに大きな社会問題化している。ニューヨーク市の900万人の水源が脅かされると懸念されている。
シェールガスは、このように環境破壊を伴った天然ガス開発であり、特に生産井の初期の減退は激しいので、掘削井の数は膨大となり、地表の環境破壊も広範囲で甚大となる。

そこで最後にメディアにお願いしたい。従来、環境にやさしいとされてきた天然ガスだが、アメリカのシェールガス開発は以上のようであるから、その実態を客観的に報道して欲しい。 

国際エネルギー機関、IEAは埋蔵量は在来型の5倍、資源は膨大と政治的な楽観論を展開するが、日 本のJOGMEC、石油天然ガス・金属鉱物資源機構のジャーナルに掲載された論文、「シェールガスのインパクト」、石油工学の専門家、伊原賢氏による論文などもある、ぜひご参照願いたい。

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