皮膚常在菌を知り美しい肌を作る

 だれでも美しい肌になりたいと思うのは当たり前です。それにはお肌の仕組みがどうなっているかを知らなくてはなりません。闇雲にいろいろなものを塗りたくっても、かえって悪い結果になります。たとえば、足先の皮がむけてかゆいので水虫だと思って水虫の薬(殺菌剤)を使うと、湿疹の場合は余計ひどくなります。湿疹だと思って湿疹の薬(ステロイド系)を使うと水虫だったら水虫が元気になって水虫がひどくなってしまいます。知らないと怖いのです。

肌は、角質層の下の細胞が次々とでき、せり上がってきて角質になります。その角質の上に体の中から毛穴を通って皮脂が出てきます。さらに皮脂が脂肪酸とグリセリン(保湿成分)変わらなければなりません。これがきれいな肌の仕組みです。きれいな肌の第一条件は細胞が次々にできあがらないといけません。そのためには、バランスよく栄養がとれているかです。ダイエットや忙しいと称して偏食すればきれいな肌は望めません。第二の条件は皮脂が十分に出るかです。これもバランスの良い食事です。第三の条件は皮脂が保湿成分となっているかです。これはなんと肌にいる美肌菌という細菌が作るのです。皮脂を美肌菌が食べて、脂肪酸とグリセリンのうんちを出し、そのうんちが体中を覆い肌をきれいにする保湿成分なのです。そしてその美肌菌の正体は、かの有名なアクネ菌もその一つなのです。

 

 皆さんの顔には(全身です)皮膚常在菌というのが住み着いていて(アクネ菌もその一つ)、バリアを張って、病原性の細菌から守っていたり、保湿をして、きれいにいられます。ようするに味方なのですが、それをほとんどの人が知らないため、「ばい菌きらーい。」といって、消毒したくなってしまいます。化粧品の中にも、殺菌剤、アルコール(殺菌剤)、保存料(殺菌剤みたいなもの)、化学物質がふんだんに入っていて、角質層の上にある皮膚常在菌を殺し、それが作る皮脂層を破壊するものが多くあります。メーカーは、皮膚常在菌のことを詳しく知らないから、こんなことになってしまいますが、私たちも知らなければ、それを平気で使ってしまいます。使うとどうなるか、たとえば最近、ビルの入り口に消毒用アルコールがおいてあります。あれで毎日、手を消毒していると、皮膚常在菌が殺され、保湿成分である皮脂膜がとれてしまいます。すると肌ががさがさになり、皮脂膜は紫外線の進入も防ぐから、それがなくなって紫外線が皮膚の奥まで進入しメラニン色素を作って、シミになります。また、常在菌がいなくなってしまうから、病原性の細菌が入りやすくなり、感染症や湿疹ができます。

 お肌のお手入れはどうすれば良いか。
最近、いくつかのメーカーから、アルコールの入っていないもの、植物由来のもの、常在菌のえさが入っているもの(オリゴ糖)などが出回っているから、まずそういうもの選びましょう。石けんも殺菌剤や消毒剤、保存料、化学物質の入ったものはだめ! どんなにいい石けんでも皮脂層と常在菌をはがしてしまうから問題ですが、若いうちは2時間で常在菌が戻ってきて、皮脂層を作るらしいから、石けんで顔を洗うのは、夜だけにした方が良いと思います。年齢が高くなると常在菌のえさである皮脂がなかなか出ず12時間以上、常在菌が戻ってこないなどということになるので、朝は皮膚温度の32度までの水だけで洗う方が良いです(あまり熱いお湯だと寝ている間にできた皮脂層が落ちてしまいます)。

  メークに使われる色素は鉱物です。細かい鉄粉のようなものを塗っているわけです。日焼け防止の化粧品の中身は、こまっかーいアルミの粉で、日差しを反射させて肌の日焼けを防ごうというものです。あまりにも細かい鉱物の粉は細胞と細胞の隙間に入り込み、取れなくなって、くすみの原因となります。美白の化粧品の中には、酸化チタンの白い粉が入っており、これはあまりにも薄っぺらいため細胞の隙間に入りやすく、白い粉が細胞に入って白く見え、美白になったというようなものまであります。

どっちにしろ化粧品は毒とまではいわないものの、お肌に負荷を与えるものですから、美肌を保つためには色を塗る前に下地を塗ることをお勧めします。それもお肌に優しい化学物質を使っていない、下地です。一手間増えますが、美肌のためです。

お化粧品の塗り方ですが、下地や色物は毛穴を埋めてしまうと、肌荒れや汗などで化粧崩れの原因となります。毛穴を埋めないようにする方法があります。基本的に目から下は、毛穴が下を向いています。下に向かって、うぶ毛が生えているということ。目から上は毛穴が上を向いている。ということは、目から下の部分に化粧品を塗るときは上から下に向かって塗る。目から上の部分は下から上に向かって塗ると、毛穴に化粧品が入り込まず、皮膚呼吸もでき、化粧崩れも防げるということになります。人によって毛穴の向きは違いがありますから、自分の毛穴がどっちを向いているか、拡大鏡で調べてみるのも良いでしょう。

 
体の機能にはホメオスタシス効果というのがあります。体の状態を一定に保とうとする作用です。乾燥した冬に唇がかさかさになります。体は唇をかさかさにしないため、皮脂を多く出し対処します。ところがリップクリームを塗ってしまうと体は皮脂の量は十分だと勘違いして、皮脂を出さなくなります。その結果冬の間はリップクリームを塗り続けなくてはならないということになります。お肌も一緒で、保湿成分を外から与えると与え続けなければならなくなります。女性の肌が乾燥に弱いのは外から保湿成分を与えてしまうからです。保湿成分を外から与えない男性の肌は、何もしなくても保湿の状態が良いのです。

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