リスクの計量化・可視化と統合的知の再構成

1.はじめに
  「リスクと言う言葉は、「イタリア語のrisicare」に由来する。この言葉は「勇気をもって試みる」とい意味を持っている。(「リスク」(ピーター・バーンスタイン著)から)
  リスクは、21世紀のおいて、さらに様相を変化させながら、我々人類に挑む難問でもある。しかしリスクに対処し、リスクをとりながら将来の選択を行うことで、社会システムを発展してきた。
この複雑化していくリスクに対応するために、従来の学問体系や理論体系を、細分化され専門化されたものから、横断的、体系的な新たな構築が今こそ重要になっている。
2.リスクの分類
  リスクは、テロ・地域紛争、地球環境の変化、環境汚染、エネルギー枯渇、地震や津波等の自然災害、社会負担の増大、生活支援資本の脆弱性、価値の喪失、モラルの低下等社会活動の 基本的な要素におけるリスクはますます拡大し、影響の相互度合いも増加している。
 こうしたリスクの対応には、科学的な知見が重要な役割を果すことに間違いはない。
 (リスク体系図) 
3.リスクの拡大増大と対応の困難性
  しかし、リスクは拡大し、その影響や相互作用は、増大している。その原因は、社会の高密度化、社会連鎖相互作用の拡大、効率化の進展による余裕度の欠如、地域や集団力の低下、価値観の多様化等であるが、「自然の治癒力」が低下している ことや人為的な対応力の低下(自律力の低下)も長期的なリスク対応能力を脆弱化している。
勿論科学技術の発展は、リスクの低下やリスクへの対応力を強化してきた。
 しかし科学技術の発展が果した結果としての人工物(原発、高速道路、ガス、電気、高層ビル、システム化等)は、それぞれ個別の完成を目指していくので、相互関係やリスクの引き起こされた場合の混乱性突発性には、対応することは困難である。
  今後のシステム構築に於いて、システムそれ自身に、以下の要素を組み込む必要がある。
1)個の解決と全体解決のバランス
2)更なる専門知識の開拓と相互作用の複雑化
3)新しい社会的な課題の拡大の認識力(社会の複雑化/高齢化/グローバル化等)
4)科学技術の影響と社会的抑制の複雑化
5)人間性の喪失
6)相互作用の解析不足
7)対策の誤り/対策プロ能力脆弱性
(リスクの構造図)
4.リスクの計量化・可視化
 リスクの計量化・可視化は、こうしたリスクへの適確な理解を深め、基本的な対応力を高める事になる。計量化可視化のためには、幾つかの予測プログラム、相互作用の複雑な要素の解析、対応結果の可視化等プログラムやシミュレーションの基本となる条件や要素が、リスクに対応して、明確にされる必要がある。
 これは単に、従来のシミュレーションモデル作成方法ではなく、リスクの発生源、リスクの影響範囲、リスクの相関関係・相互作用、リスクの発生頻度、リスクの対応への有効要素解明、リスク対応の結果等を体系的に評価する仕組みも重要となる。
 計量化・可視化は、当然リスク内容により条件等が異なる。
 1)リスクの予測、予知モデル 
 2)リスクの場所・時期・規模モデル
 3)リスクの被害モデル(家屋倒壊、死傷者、道路交通分断、環境汚染、病院等非難場所、食糧確
   保、生活必要品、情報連絡、精神的被害他)
 4)当面のライフライン確保(生活の場、生活必需品確保、支援物資管理、支援システム)
 5)復旧プロセスモデル(復旧条件、普及時期、復旧業務マネジメント)
 6)原因究明と今後の課題モデル(原因究明、原因条件解析)
 7)災害時の刻々と変化する状況判断シミュレーション(重点事項別状況変化)
 8)対策モデル(対策手順、対策結果、重点事項、突発事項発生の可能性他)
(リスク可視化モデル)
5.計量化・可視化における一環体制と知識体系
 リスクの計量化・可視化は、計量化・可視化することで、内容自体を明確にするだけでなく、対策の総合的な手順や先行的な準備を可能にするものでなくてはならない。
 また、対策の不可能な条件(利害関係、仕組みの不在他)への新しい最適な解決を創造する ことを可能にすることが重要である。
(リスク可視化モデル図)
こうしたリスクモデルに於いては、分析段階と可視化段階と対策段階では、必要となる知識体系は異なる。リスク分析技術とリスクモデル化技術とリスク対策技術に、従来の範囲を超えた統合的知の再構成が重要となる。
(リスク対応に必要な知識体系図)
*図の導入ができなかったので必要な方メールください。

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