「石油ピーク死んだ」論を批判する

「石油ピーク死んだ」論の論理

最近、「シェール革命」と騒がれ、続いて「石油ピークは死んだ(death of peak oil)」論」が内外で流布されています。国際エネルギー機関IEAは、「2006年に在来型石油生産のピーク到来」と「非在来型のシェールオイルなど増産による需要の確保」を区別して報告しましたが、それを否定する論調です。

 「石油ピーク死んだ」論の特徴は、IEAの識別に反して、在来型石油と非在来型石油の「異質混同」にあります。そしてシェールガス/オイルの際立った増産は米国だけなのに、あたかも世界的な傾向のような論調になっていることです。

在来型石油と非在来型石油の質の違い

現在、在来型石油が生産ピークにあって価格が高騰し、100ドル/バーレルの水準になっています。一方、シェールオイルは何十年も前から、石油価格が60ドル以上/バーレルくらいなら商業生産できるとされており、現に油送インフラの整った米国では生産されています。  
次にエネルギー収支比(EPR)について、在来型石油の現在のEPRは世界的に10以上あります。賢く使えば石油文明の維持に叶うEPRです。しかし非在来型石油のEPRは3程度以下です。EPRが5以下の石油は‘石油文明を支える石油ではない’といわれています。
「石油ピークは死んだ」論は、‘在来型石油の生産量が減少しても、非在来型が大量にあるので、需要量が増えても生産供給できるということを言っているだけです。文明の存続にかかわる「石油のEPRの大きさ」を無視した論理です。


非在来型依存で米国はどうなる?

米国では2007年以降、石油消費量が減少傾向にあり、一方国内石油生産量は増加傾向にあります。石油消費量(単位:百万バーレル/日)は2007年の20.5から2012年の18へ減少、国内石油生産量(単位:同上)は2007年の8から11.5へ増加であって、シェールオイルなどのハードオイルの増産によるものです。消費量と生産量の差は輸入量であって、この5年間で半減し、石油輸入額の節減になっています。しかし、米国では減少傾向にある石油消費量のうち、シェールオイルの生産に必要なエネルギー分が増加し、文明活動に用いる正味エネルギー量はさらに減少していることになります。


 結 言

 米国は、EPRの低いシェールオイルへの依存を強めるほど、‘石油文明が回らなくなる’という矛盾が深まります。EPRの低い非在来型石油は石油文明存続のために使うと、かえって文明崩壊の危機に繋がります。
むしろ低エネルギー社会で、適切な方法で生産し、利用する資源だと考えます。もちろん、地圏環境破壊しない範囲、方法で生産することになります。

Add a Comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です